「農民」記事データベース20000228-439-01

受給額バッサリ/46歳未満は掛け損…

農業者年金大改悪に怒り噴出

全国農業会議所が賛成誘導アンケート

各地から批判国の責任で解決策を

 「公的年金だからと加入したのにだまされた」「政府の責任で財源を手当てしろ」――受給額を三割カット、四十六歳末満の加入者は“掛け損”という、とんでもない農民犠牲の農業者年金改悪案に農家の怒りが噴出しています。あまりの反発の大きさに、昨年暮れに出した改革大綱案をいったん引っ込めた政府・自民党は、全国の農業会議所・農業委員会を使って農家の“意見集約”をさせる一方、「大綱案はギリギリの判断。納得を得るための努力をする」(農水省・高木事務次官)と、わずかな手直しで今国会に法案を提出し、二〇〇一年四月の新制度の発足をねらっています。


農業委などが続々と意見書

 「実際に受け取っている人の年金を下げるとは前代未聞。国の詐欺行為だ」「女性や後継者に加入を勧めてきた俺たちの立場がない」「『新政策』で農家を減らしといて、基盤が失われたから農家に負担させるとは、まったく矛盾している」―― 一月十九日、北海道十勝管内一市十九町村の農業委員を集めた「改革大綱案」の説明会では、これまで自民党農政を支えてきた人たちも含めて、参加した農業委員から激しい怒りの声が沸き起こりました。

 「加入者、受給者の双方にがまんしてもらうしかない」(農水省渡辺構造改善局長)と、公然と農家に負担を押し付けるために出した年金改悪案。説明会では農業委員が口々に、「帰って、農業委員会で反対の決議を上げよう」と言い合ったといいます。その十勝をはじめ、後継者、女性の加入者が多い北海道では、農業委員会の決議、議会の意見書が次々とあがっています。

「自民農政断罪」する建議書も

 「年々下がる食料自給率に見られるように輸入依存の体質は一段と加速されており、この抜本的な農政の変革なしに改革案も近い将来崩壊の途に着く」と、自民党農政を断罪する建議書をあげた秋田県西目町農業委員会。同町の佐々木隆一農業委員は「まるで二階にあげといてハシゴをはずすやり方だ」と農家の怒りを代弁します。

 福岡県椎田町農業委員会でも同趣旨の建議書を全会一致で可決。広島では、三和、布野、三良坂、高宮、作木の五町村長をはじめ、農業委員会の会長・事務局長、共済組合長、 普及所長などが続々、農民連の改悪中止を求める要請書に署名しています。

初めから賛成の○印

 改悪の理由とされる年金財政の危機を招いた加入者の減少は、政府が農業潰しの悪政を続けてきたためで、農家には何の責任もありません。少なくとも、政府の責任で、現行の給付水準を維持し、加入者の“掛け損”を回避すべきです。

 同時に、こうした怒りを農業団体を“隠れ蓑”にしてかわそうと、政府・自民党が全国の農業会議所・農業委員会にやらせたアンケートによる“意見集約”が、まったくデタラメなやり方で進められていることが各地の報告で明かになっています。

 なんと!初めからマルが付いたアンケート用紙が農業委員に配られた千葉県船橋市。「最初は例としてマルが付いているのかと思った。しかし、全ての設問に付いていて、“三割カット”なんて文字まである」と斉藤教子農業委員。「これ(マル印)は何だ」との質問に、事務局は「こうしたから、今日論議して、これでよければこのまま提出する」と回答したといいます。

「加入者の声をもっと聞け」

 農業者年金基金の担当者に、初めから結論を押し付けるような“意見集約”のやり方を問い正したところ、「徹底的に加入者の意見を聞いているところもある。そういうこと(結論の押し付け)は好ましくない」と返答。

 農業会議所・農業委員会も、拙速なやり方を改め、きっちりと政府に対し農家・加入者の意見を代弁すべきです。 (2面に特集)

(新聞「農民」2000.2.28付)
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2000年2月

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