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輸入豚肉より安全で美味しい

「トウキョウX」豚肉を産直に

茨城県西農民センターが取り組み


 「急増する輸入豚肉と差別化できる良食味の肉を」と、東京都畜産試験場で開発された「トウキョウX」豚。茨城県西農民センターは、養豚経営の苦境を何とかしようと、この豚肉の産直にとりくむ準備をすすめています。十一月末には養豚農家ら十人が、都の畜産試験場を訪れ、開発担当者から話を聞きました。

 「トウキョウX」豚は、味に定評ある北京黒豚、鹿児島黒豚で有名なバークシャー種、それに褐毛のデュロック種の交配で、七年の歳月をかけ九七年に誕生しました。霜降りでやわらかく上品な肉質が特徴です。

 しかも、飼育マニュアルにもとづいて、遺伝子組み換えをしていないポストハーベストフリーのトウモロコシを与え、抗生物質のない飼料で長く飼うなど、豚の健康と肉の安全性を考えて育てられます。試験場の伊藤米人博士は「味に着目して開発した豚はこれが初めて。おいしく、安心して食べられる」と自信をのぞかせます。

 ただし普通の豚に比べ、一度に産む子豚の数が二頭くらい少なく(平均九頭)、飼養期間も約一ヵ月長くなるため(平均七ヵ月)、店頭の小売価格は二割〜五割ほど高め。「TOKYO Xアソシエーション」に加入するデパート、スーパー、レストランなどで販売されています。

 生産者価格は、A品の枝肉価格が一キロ六百四十七円。八五%がこの価格で取引されているそうです。茨城県八千代町の養豚農家、川田修一さんは「普通なら三百円〜五百円。四百五十円なければ採算がとれない。正直なところ、この価格は魅力だ」といいます。

 豚肉の自給率は、いま六八%。全国の養豚農家の数は、この十二年間に二割以下に激減し(現在約一万三千戸)、一部の企業的な大規模経営に生産が集中しています。「このままでは養豚経営はジリ貧。このとりくみをぜひとも成功させたい」と農民センターの初見安男事務局長。

 同時に、「生産量が増えてきた時に、いつまでこの生産者価格が維持されるか。その時は、組織でとりくんでいる強みで価格を守っていきたい」と語っています。

(新聞「農民」1999.12.20/27付)
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1999年12月

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