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岡山南部の国営パイプライン計画

「税金のムダ使いやめよ」

地元農民ら71人が訴訟「現存する用水が十分機能」


 岡山県の三大河川のひとつ高梁川から八百年前に引かれた「十二ケ郷用水」で、農水省が計画している国営岡山南部潅漑排水事業(パイプライン計画)は「税金のムダ使いだ」として、地元農民ら七十一人が国を相手取って岡山地裁に事業の中止を求める訴訟を起こしています。

 訴訟はこれまで二回の公判が開かれましたが、国側は計画書を出さず、本論に入ることさえ避け続けています。

 十二ケ郷用水は岡山県総社市の高梁川・湛井堰(たたいいぜき)から約八キロ離れた岡山市足守川まで引かれ、下流の岡山市南部と倉敷市の流域約三千八百ヘクタールの水田を潤しています。

 農水省は、この取水口と用水路が老朽化したのと、足守川が天井川で砂質土のため漏水するという名目で、総社市窪木から岡山市福富堰まで約八・二キロに直径二・六メートルの鋳鉄菅を通す計画を進めています。該当する市町村は三市一町二村、受益戸数八千七百戸、四千二百ヘクタールの潅漑用水で、総事業費が約二百八十億円。

 岡山県知事は、「このパイプラインが実現すれば、足守川にある五つの堰は撤去する」と県議会で答弁しています。これに対して、地元農家は「足守川パイプライン化を考える会」(林清一会長、約百人)を結成し、「十二ケ郷用水は今のままで十分機能している。パイプライン化は農業用水には役立たず、計画は不必要な事業で税金のムダ使いだ。足守川に水が通らなくなると環境破壊が進み、ドブ川になってしまう」と、九九年一月、国に対して異議申請を出しましたが、却下されたため、六月に事業の中止を求める訴訟を起こしました。

 会は、裁判支援のカンパを全国に訴えています。

 「足守川パイプライン化を考える会」の事務局
   〒701-1462 岡山市大井二二〇三 神田利男さん方
         電話〇八六―二九五―一〇一一

(岡山県南農民連 中庭克之/新聞「農民」1999.11.22付)
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1999年11月

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