WTO新ラウンドシアトル閣僚会議で幕開け日本から多数のNGO代表 農民連・食健連の五氏も
アメリカと農業・食料多国籍企業(アグリビジネス)の利益のために世界と日本を「自由貿易地帯」にし、二十一世紀の食糧問題をますます困難に追い込むのか、それとも各国が食糧主権にもとづいて農業を発展させ、地球から飢餓をなくすのか。こういう人類的な課題を背負ったWTO新ラウンド(ミレニアム・ラウンド)が、十一月三十日から十二月三日までアメリカ・シアトルで開かれる第三回WTO閣僚会議で幕をあけます。 新ラウンドの大きな特徴は、加盟国が九十二から百三十四に増え、発展途上国が八割以上という力関係のもとで開かれること。また、市民や農民の組織(NGO=非政府組織)の意見と圧力が、これまでとは比べものにならないほど力を発揮する可能性があることも大きな特徴です。 現にヨーロッパ連合(EU)は十月二十五日、「市民社会の正当な利益や懸念にこたえるため、交渉過程に彼ら(NGO=非政府組織)を全面的に取り込むべきだ」という新ラウンド対応方針を決めています。 WTOもNGOの参加には積極的で、シアトルには全世界からおよそ五万人のNGO代表が集結します。日本からもWTOに登録しているだけでも二十四団体が参加。農民連・食健連からは、真嶋良孝・根本敬・村尻勝信・高橋マス子各常任委員、坂口正明全国食健連事務局長が参加し、閣僚会議の傍聴・監視やシンポジウム、デモ、世界の農民組織との交流など多彩な行動を展開します。
真嶋良孝農民連 事務局次長の話「十月下旬にイタリアを訪問し、国連食糧農業機構(FAO)の幹部などに会ってきましたが、かれらが一様に驚いていたのは、日本の自給率の低さと、それにもかかわらず減反が四割近くに及んでいることでした。九六年ローマ食料サミットのNGOフォーラム議長をつとめたアントニオ・オノラティ氏は『食糧主権は発展途上国の課題と思っていたが、あなたがたの話を聞いて認識を改めた。WTO改定にともに力をつくそう』と話していました。アメリカにも『世界中の家族農業の維持が我々の最終目的。各国が国内の供給を国内でまかなう主権がある。自由貿易では農家は生きていけない』と主張する有力な農民組織があります。こういう組織やアジアの農民とも交流し、それぞれの立場からWTO改定の声をあげ、世界の大きな流れにしたい。シアトルは、その大きな一歩になるでしょう」
(新聞「農民」1999.11.22付)
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[1999年11月]
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