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政府が「大綱」決定

エサ用米投げ売り打ち出す

減反は拡大の一途に


 政府は十月二十九日、「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱」を決定しました。「これまでの減反のイメージではなく、自給率向上をはかる」と農水省の担当者が強調していますが、「大綱」は、(1)減反は目標面積でなく、生産数量・作付面積で配分する(2)麦・大豆・飼料作物などを本格的に生産する(3)今年度産米の緊急需給安定対策でエサ用の米を十七万トンを処理し、九十億円を国が助成する(4)二〇〇〇年産米の政府買い入れ価格は前年より二・七%引き下げる(米審で決定)などで、その中身は――。

 「減反を一〇〇%やっても、作況が一〇〇を超えたら、余った米をエサ用へ投げ売り」する仕組みを公然と打ち出しました。具体的には農民の負担で今年度から実施し、十七万トンをエサ用に投げ売りし、政府の補助は九十億円になっていますが、実際は農家が一俵(六十キロ)当たり一万円も損をする仕組みです。

 こうした処理は、北陸四県の農協中央会が要請しているように、すべて政府の責任で行うべきものです。

 政府のやるべきことは、自主流通米の値幅制限撤廃を元に戻したり、政府買い入れ米価を引き上げ、買い入れ数量を増やすなどの対策です。ところが、今回の政府米の買い入れ価格を引き下げています。

 「稲作経営安定対策」を改善したといいますが、保険方式では価格の安定には役立ちません。政府が損失の全額を保障すべきです。減反率は、削減すべきですが、昨年と同じ九十六万三千ヘクタールです。その上さらに作況に応じて減反がプラスされることになります。

 米余りの原因であるミニマムアクセス米の輸入は減らしません。

 麦・大豆・飼料作物への転作の最高七万三千円を助成するとしていますが、団地化や二毛作などの条件をつけ、ごく一部しか該当しません。その一方で、不足払い制度などの価格保障制度を廃止し、市場原理に任せています。これでは麦や大豆は増産できません。野菜などへの助成はゼロです。

 生産者米価の値下がりの最大の原因である外米の輸入についてはまったくふれていません。「大綱」は、価格保障をやめ、減反を増やし、農民の米や農産物を作らせないようにする新農基法の具体化です。

(新聞「農民」1999.11.8付)
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1999年11月

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