「世界食料デー」シンポ「食料安保と若者」テーマに高橋陽子農民連青年部さんの発言に共感
世界食料デーFAO(国連食糧農業機関)の設立を記念して、世界の人々が明日の食料について考える日十月十六日をはさんで、毎年世界各国で多彩な催しが開催されています。日本でもその一環として十月十八日、都内で国際シンポジウムが開かれました。今年のテーマは「食料安全保障を担う若者」。このシンポに、神奈川県の野菜農家で農民連青年部員の高橋陽子さん(28)がパネラーとして参加し、その意見が大きく注目されました。シンポはNHK教育テレビで十二月上旬の金曜日夜、全国に放映されます。 シンポを主催したFAO(国連食糧農業機関)は、人類を飢餓から解放することを目的とした、国連の食料と農林水産業の専門機関です。一九九六年にはFAOを中心に、世界百八十六カ国の首脳がローマに集まり、「世界食料サミット」を開催。二〇一五年までに栄養不足人口を半減させることを訴えた「ローマ宣言」が採択されました。しかし、世界では現在なお約八億人もの人々が、飢餓と栄養不良に直面しているといわれています。 そんななかで開かれたこの国際シンポでは、パネラーとしては、高橋さんのほかFAO上席官のウィリアム・サイダーズ博士、日本FAO協会理事長の松本作衛氏、大賀圭治東大大学院教授、高橋径子オイスカ研究員などが出席しました。 討論は、全体として、WTO協定の矛盾に真正面から触れることを避けたり、日本の食料自給率を下げる原因となった農政をまったく問題にしない、農業後継者の不足、都市への人口流出という世界的な課題の解決をもっぱら教育だけに求めるなど、問題の所在が最後まで明らかにならない低調な論議に留まりました。 そのなかで、高橋さんの「生産者として農業を続けていくことが、世界の食料安保につながっていると思う」「この食べ物はどこから来て、誰が作ったんだろう、と考えるところから食料問題をとらえてみてほしい」「家族農業を大切にすることこそ食料生産の基本」という発言は、農家の思いを率直に訴えて、多くの共感を呼びました。
(新聞「農民」1999.11.1付)
|
[1999年11月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-1999, 農民運動全国連合会