遺伝子組み換え分析開始記念盛大に祝賀会ひらく日本の食と農の安全守る大きな力に各界から多数参加熱い期待と激励
食品としての安全性や地球環境への影響が憂慮される遺伝子組み換え食品は、いま世界中で大きな問題になり、WTO次期交渉の焦点にもなっています。 増大する遺伝子組み換え食品世界最大の食料輸入国日本へは、さまざまな加工食品、飲料、調味料、畜産製品の飼料として国民一人当たりに換算すると、実に年間の米消費量にも匹敵する五十四キロ(推定)というおびただしい量の遺伝子組み換え食品が押し寄せ、国民の食への不安、安全なものを食べたいという要求はかつてなく高まっています。農民連食品分析センターには、多くの消費者、生産者から「遺伝子組み換えの分析が一日も早く出来るようにしてほしい」という切実な要望とともに、続々とカンパが寄せられました。 こうした全国からの熱い期待に応え、農民連分析センターでは、遺伝子組み換え分析装置を導入、九月下旬から分析検査をスタートさせました。 マスコミ関係者からも関心これを記念して十月十九日には、東京・池袋サンシャインシティ内で「遺伝子組み換え分析開始記念祝賀会」が盛大に開かれました。祝賀会には、新日本婦人の会、日本消費者連盟、家庭栄養研究会、生協など消費者団体代表、国産生薬(株)代表、全労連、自治労連、国公労連、全税関労組、検数労連、全農林東京、明治乳業争議団など労組代表、学者、研究者、青年学生、出版・マスコミ関係者、日本共産党国会議員団、各都道府県の農民連、産直組織代表など百八十人余が出席。 農民連の小林節夫代表常任委員は、「いま遺伝子組み換え食品やニセ国産、ニセ新米を摘発する分析センターは、食品の安全を守る砦であり、国民の財産」とのべ、分析センターのメンバー石黒昌孝所長、八田純人所員、技術顧問として分析を指導している杉田史朗氏を紹介。石黒所長らは「遺伝子組み換えの分析が出来るようになったのは、すべて皆さん方のお力です」と、熱い支援に感謝し、これまでの分析結果、今後の分析予定を報告しました。 また来賓からは「分析センターは、安全なものを食べたいという要求に応え、産直運動、大豆トラストを進め、日本農業を守る大きな力」(新婦人高田公子副会長)、「アメリカとの話し合いで作られた農水省の表示案は、ごく限られたものだけ。市民の検査運動でチェックし、食品産業を非組み換えに切り換えさせていくために、農民連の検査機関に大きな期待」(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの安田節子事務局長)、「遺伝子組み換え問題は、科学技術、農業政策、社会科学的にみて、二十一世紀の最大の問題。それを農民連は真先に取り組み、分析センターを作ったことは大変な快挙」(元農水省農業技術研究所長の江川友治さん)と、こもごも農民、市民の手による分析センターの検査開始に大きな期待が寄せられました。 「大変な快挙」と祝辞つぎつぎまた柳下登東京農工大名誉教授・農の会会長は、最近の臨界事故を引き合いに、「遺伝子組み換え技術は原発と同じ未完成の技術。国民の期待に応え、分析をするためには、さらに創意工夫をこらし、努力していかなくてはならない」とのべ、「よもやバケツは使わないように」と笑わせながら乾杯の音頭。参加者は、全国から持ち寄られた郷土色豊かな料理や飲み物を味わいながら遺伝子組み換え分析開始を祝福しあいました。
コーンスナック菓子から/説明・見学会で発表農民連食品分析センターの遺伝子組み換え分析開始の説明会と分析センター見学会が、記念レセプションに先立って十九日午後、東京・成増で開かれました。説明会では、ごく普通に市販されているスナック菓子「ドンタコス」からも遺伝子組み換えコーンが検出されたことが発表され、参加者からは驚きと怒りの声が上がりました。センターの遺伝子組み換え分析は、PCR法による分析で、千葉県の畜産農家から持ち込まれた飼料用トウモロコシを分析。遺伝子組み換えトウモロコシ(Btコーン、カーギル社)と非組み換えトウモロコシ(デントコーン)の検出に成功しました。 さらに、都内のコンビニで販売していた「ドンタコス」(湖池屋)というスナック菓子を分析したところ、“NOSB”という組み換え遺伝子のターミネーターをもつ遺伝子組み換えトウモロコシを検出。「ドンタコス」は、スーパー、コンビニなどで販売されているスナック菓子です。パッケージには「厳選されたトウモロコシを…」の文字。テレビコマーシャルも流れています。 説明会では「子どもが食べるようなスナック菓子の中に遺伝子組み換えが混じっていることに強い怒りをもった」という消費者からの意見のほか、「油は分析できないか」「検査料金はいくらか」「分析に必要なサンプルの量は」など、矢継ぎ早に次々と質問が出されました。 分析センター見学会でも、食い入るような真剣さで分析手順の説明に耳を傾け、ここでも分析スタッフは質問責めに合いました。 「情報収集はどうやっているのか」「冷凍ポテトは分析できないか」「ビールのような液体はできないのか」「抗生物質はできないか」などの質問に一つ一つていねいに答えながら、技術顧問の杉田史朗博士は「科学は人類全員の財産。ハンディある実験条件だが、できることはある。この地道な分析の延長線上に食料や農業、環境の問題がつながっている」と語りました。 同説明会・見学会には、遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンをはじめ、東都生協、生産と消費を結ぶ研究会、日本母親大会連絡会、飼料会社など、消費者団体や出版・マスコミ関係らが多数参加しました。
(敬称略)◇募金へのご協力ありがとうございました。
(北海道)今野友枝、森下和子、帯広川西農業協同組合、農民運動天北地区協議会木村秀雄
(新聞「農民」1999.11.1付)
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[1999年11月]
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