続・我田青春/第4話稲刈って描いた18歳の夢「我田青春」二年目の田んぼも、今日(十月三日)がいよいよ稲刈り。いろいろな都合で随分遅くなってしまった。残っているのはここだけ、まわりの田んぼは、ひこばえが伸びている。「収量は去年より二俵多い九俵ぐらい(注・一反五畝で)」というのが、手伝ってくれた飯島行雄さんの見たて。でも、それ以上に今年の大きな収穫は、この田んぼを通して多くの青年と知り合えたこと。その一人、十八歳の中野弘文君の感想を紹介します。
稲の束ね方講習そもそも、おれがこれに参加したのは、昭島で開かれた東京新婦人のイベントがきっかけ。日本農業や食料自給率低下の文書に目を通していたところ、「君こういうの興味あるの?」と声をかけられた。「農家になるのが小さい時からの夢なんで」と答えると、いろいろな人を紹介された。
九月十一日、栗拾いと飯島幸三郎さんの田んぼの稲刈り。幸三郎さんは、前回収穫したトウモロコシの畑をおれたちに提供してくれた人。この日はその恩返しだ。 バッサバッサとそして今日は、おれたちの田んぼの稲刈り。残っているのはここのみ。そのせいだろうスズメの襲撃を受けた跡が、あちこちに見うけられる。今回は、前回と違ってコンバインが九割がたやってしまい、残りの一割を人力でバッサバッサと刈った。しかし、文明の利器には遠く及ばない。その作業の速さに一番驚いたのはきっとスズメたちだろう。超プラス思考で何日か前、おれは、原宿にある新規就農ガイドセンターに就農相談に行った。やはり現実は厳しい。農家になるには、お金と土地と技術、それに、できれば嫁さんも必要とのこと。あとの三つは、後からでもどうにかなるが、やはり問題は金。超プラス思考のおれは、「よーしお金を貯めるぞ」ということで今は頭がいっぱい。何年かかろうとも、お金を貯めて、それから実習に行って、それから独立して…今まで生きてきたのと同じくらい時が過ぎそうだが、おれは前だけを見て進んでいこうと思う。
(新聞「農民」1999.10.18付)
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[1999年10月]
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