火電と梅枯れの原因究明日本科学者会議、和歌山でシンポジウム
日本科学者会議公害環境問題研究委員会主催の火電・梅枯れ問題シンポジウムが九月二十五日、和歌山県田辺市で開かれ、三十三人の学者と梅枯れ被害に悩む農家などを合わせて百人以上が参加しました。 同会議茨城支部の鈴木光弘氏は火電問題について「地球温暖化防止のための二酸化炭素削減はまったなし。火電を増やさなくても、今の火電の効率をあげ、太陽光、風力など自然エネルギーの導入をはかれば、電力需要は十分まかなえる」と説明し、日本の二酸化炭素の排出を二%押し上げる御坊第二、和歌山LNGの両火電計画を「国際的にも許されない」と批判しました。 梅枯れ調査研究グループ(日本科学者会議と日本環境学会の学者・研究者で構成)の瀬戸幸作氏は「県うめ対策研究会は、梅枯れの原因について、自分の専門分野からあれこれ言うだけで、説得力がない。私たちのグループは、本当の梅博士である梅農家とともに、大気関係を中心に原因解明に力を入れていく」と語り、大きな拍手をあびました。 同会議の研究者は翌九月二十六日、紀州の梅を守る会(農民組合など)と梅枯れ対策期成連盟(田辺市の農家が中心)の案内で、梅枯れの現地を調査。そのなかで、JA紀南と関西電力共同の実験園でおもしろいものが見学できました。 それは、同じ苗と土で育てられた四年生の木が、ハウス内で大気汚染物質の暴露実験を行っているほうが生育が良く、路地のほうは軽度の梅枯れ症状が出ていたのです。これについてある研究者は「ある大気汚染物質が悪いのではなく、大気中で複雑に化学変化した物質や重金属が作用しているのではないか。どう考えても御坊火電の煙が主たる原因でしょう。現時点でも最大の梅枯れ対策は、皮肉にもハウス栽培だ」と語っています。 学者との懇談で「重金属の樹体解析など、先生方の力を貸して欲しい。できれば専門スタッフを作って欲しい」などの要望を農家の人たちは出していました。先生方は「千カ所くらいでいっせいに梅の葉を採取して、有害物質の分布を調べよう」など、調査研究の方法について話されました。
(南部川農民組合・中田/新聞「農民」1999.10.18付)
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[1999年10月]
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