台風18号のツメ跡無惨熊本/作物・農地も家屋も大被害
台風十八号は九月二十四日、熊本県に上陸後、九州から東北にかけて三十五府県に大きな被害をもたらしました。直撃を受けた熊本県大矢野町にある大矢野有機農産物供給センターの青山司さんから現地リポートが寄せられました。 “悪夢”の足跡二十四日午前四時頃、牛深付近に上陸、最大風速六十六・二メートルを記録し、その後、県内を風速三十〜五十メートルの暴風雨に巻き込みながら天草を縦断。県内の被害状況は九月二十八日現在、二百八十二億円と発表され、大矢野町の農業被害は五億円とされています。被害現場に立つと、なにか怪物がのし歩いてミカンの樹や雑木林を踏みつぶして去っていった跡のようで、まるで悪夢です。組合員の声を聞くと「九一年の十九号台風被害から立ち直り、今年はミカンが豊作と喜んでいたばってん」と力なく、返す言葉もありません。 深刻な打撃に大矢野センター事務所も壊滅的な被害を受け、九月二十九日現在、電気も切れ、電話も不通で、場所を移動して事務処理を行っています。ケガはありませんでしたが、破壊された事務所の片づけをしている際に組合員が手首を骨折しました。組合員の作物や家屋は、どこでも被害を受け、日常生活の確保と作物の回復を同時に進めていかなければならず、精神的な負担は相当なものと察しがつき、慰める言葉がありません。 一方、小川町の干拓地では、二百ヘクタールの農地が海水に浸かり、農機具や車両などの被害も出ており、千万〜二千万円の被害を受けた農家もいます。八代市ではガラス温室が倒壊し、後片づけもできない状態で農業経営を放棄する話も聞かれます。 こうした状況の中で、私たちは「苦しくても頑張れば展望が開ける可能性もある」と話しています。しかし、組合員だけの努力にも限界があります。多くの消費者や生産者の仲間のご支援をお願いいたします。 ◎大矢野有機農産物供給センターの連絡先=熊本県天草郡大矢野町大字中781 下山一成様方 電話0964-26-5004(ファックス兼)
青森でもリンゴ落下被害台風十八号は青森県のリンゴにも被害をもたらしました。弘前市にある津軽農民組合は、「昨年のような被害を受けたら大変」と弘前市をはじめ、平賀町、田舎館村、藤崎町などを回り調査しました。弘前市東目屋地区では、もっとも被害を受け、三〜四割のリンゴが落下、その他のところは一〜二割か、ほとんど被害のないことがわかりました。 「リンゴが大量に落ちたあの時と同じコースをたどっていると聞くにつけ、どうかそれてほしいと願っていたのです。今、ニュースを聞くと、弘前でリンゴの木が折れたといっています。皆様のところは、いかがですか、気になります」(千葉県)、「被害をTVで知りました。昨年のように被害は大きいかなぁ、と心配しました。お電話で少ないことを伺い、ホッと安心」(福岡県)など、リンゴに心を寄せる消費者の手紙やファックスが津軽農民組合に送られてきています。
(新聞「農民」1999.10.11付)
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[1999年10月]
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