「農民」記事データベース991011-423-05

県都・新潟市のオフィス街

旬の家庭料理が人気呼んで

手作り郷土食レストラン「アトリエ四季」評判記


米も野菜も農民連に特注

昼飯どき OL、サラリーマンで大賑い

素材にこだわる経営者の谷さん

 お店の名前は「旬の家庭料理アトリエ四季」。周囲は市役所や裁判所、ビルの立ち並ぶオフィス街。OLやサラリーマンに「日替わりランチ」が大人気のお店です。
 「素材にはこだわっています」とは経営者でコックさんの谷良子さん。野菜は週一回、農民連下越センターから十品目前後の特別注文の野菜ボックスで仕入れ、お米も農民連の低農薬・有機栽培のコシヒカリ百パーセントです。足りない分を生協と組み合わせて補っています。

「おいしい味」だと毎日通う人も

 メニューはすべて手作りの和食や郷土食。中心メニューの「日替わりランチ」には、ぜんまいの五目白和え、里芋の枝豆あんかけ、冬にはノッペや新潟独特の塩漬け野菜を使った“煮菜”も登場します。
 「お料理の腕は下手でも、みなさんお米は本当においしいと言ってくださいます」と謙遜する谷さんですが、「塩分ひかえめ油ひかえめ」の料理に、ファンは多いよう。若いOLは「お母さんの味だ」「カロリーも控えめ」と感心し、サラリーマンも「ヘルシーで、体にいいね」と毎日通う人もめずらしくありません。

「伝統食列車」がきっかけで

 加工食品会社でお惣菜などの商品開発をしていた谷さんが、このお店を開店したのは四年前。「日本の伝統食を考える会」の「伝統食列車二号」がこの新潟を訪れたのをきっかけに、受け入れた母体でつくったのが「郷土食を作る会」。谷さんはこの会の創立時からずっと活動してきました。谷さんは「“食べる”ってことは基本的な部分ですよね。でもいま外食すると、野菜が極端に少なくて肉や油ばかり。地場産野菜と魚と大豆を中心にした、手作りの食事を提供したい。その思いがお店を開くきっかけでした」と話します。

手間ひまかかっても郷土の味を

 でも本当は、外食産業向けの惣菜や半加工品が多種多様に出回っているなかで、野菜をたっぷり使った郷土料理は下ごしらえがたいへん。手間も時間もとってもかかります。産直ボックスの野菜は、大きさも不ぞろいで、旬になると来る日も来る日もナスばかりということも。品目もちょっと足りない。
 献立や調理方法に四苦八苦しながらも、谷さんはこう強調します。「でもこれは旬の露地のものという場合、仕方ないですね。商売となるとちょっと苦労しますけど。でも野菜の価格も均せばそれほど高くはないですし、お米の値段は本当に生産者の方には勉強していただいています。あんまりもうからないんだけど。ハハハ」とあくまで明るい谷さん。
 農民連への温かいエールと受け取りました。

(新聞「農民」1999.10.11付)
ライン

1999年10月

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