国民の声を締め出し、議会制民主主義の根幹を 踏みにじる衆議院比例定数の削減に反対する
1999年10月2日 農民運動全国連合会
自民、自由、公明の三党は、十一月初旬に開かれる臨時国会の冒頭に、衆議院比例定数の削減を強行しようとしているが、これは、民意の国会への反映をますますゆがめ、議会制民主主義を破壊するものであり、私たちは強く反対するものである。
小選挙区制は、民意の反映を大きくゆがめるものであり、自民党は三九%の得票で五六%の議席を得ている。このゆがみを「緩和」するためにと設けられた比例代表選挙の定数を削減することは、小選挙区の弊害をさらに拡大し、国会を民意とますますかけ離れたものとすることにほかならない。しかも、自民、自由、公明が三党の連立をめぐる思惑によって合意した内容を一方的に国会に押しつけ、数の暴力で強行することは言語道断である。
自自公三党は、先の国会で、アメリカの戦争に国民を巻き込む「戦争法」(ガイドライン法)や「盗聴法」、「日の丸・君が代」法など、自民党単独ではできなかった悪法を次々に強行した。いま、三党連立協議が進められているが、そのねらいは、「規制緩和」「行政改革」の名による国民の福祉と暮らしの切り捨てであり、大企業中心の政治をさらに強めることである。また、米投げ売りの押しつけをはじめ、日本農業と農民経営を根こそぎ破壊する政治をいっそう押し進めることにある。こういう国民いじめの政治を進め、国民の支持が減っても政権を維持できるようにするのが小選挙区制であり、比例定数の削減は、単純小選挙区制に向けた第一歩である。
いま、国民が求めているのは、国会が国民の意思を敏感に反映した審議を徹底して行い、「国権の最高機関」としての機能を十分に発揮することである。
「官民ともリストラを進めており、国会も例外ではない」というが、いまでもヨーロッパ諸国よりはるかに少ない日本の国会議員の数をさらに減らすことは、国民と国政を結ぶパイプをいっそう細くするものでしかない。”政治家もリストラを”というなら、政党が税金を横取りし、政治腐敗の温床ともなっている年間三百億円もの政党助成金こそ廃止すべきである。
いま、農村では未曾有の農業つぶしや、戦後、国民の運動やたたかいによって培ってきた平和や民主主義を根こそぎくつがえす政治に対する怒りが高まり、「政治を変えたい」という声が大きく広がっている。
私たちは、こうした人たちと力をあわせ、国民の声を締め出し、議会制民主主義を踏みにじる衆議院比例定数削減を阻止するために全力をあげる決意である。
(新聞「農民」1999.10.11付)
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