「農民」記事データベース991011-423-03

食健連全国代表者・活動者会議

攻勢的活動展開へ

グリーンウエーブ行動方針

WTO交渉へ向けて


 「食と農、地域経済を守る共同を全国で地域から」九月二十六〜二十七日、東京・ラパスホールで開かれた全国食健連・99年度全国代表者・活動者会議。全国二十二都道府県・十四中央団体から七十八人が参加。今年のグリーンウエーブ行動を、文字通り“攻勢的に”とりくむ意思統一をしました。

 今年のグリーンウエーブ行動は、とりわけ大きな意味を持っています。
 それは第一に、十二月にアメリカ・シアトルで開かれる閣僚会議でWTO交渉が開始され、この秋から来春にかけてのとりくみが三年間の交渉の行方を左右すること。「交渉を中止し、このWTO成立後五年間の評価をキッチリしろ」といった声が、世界のいたる所から、幅広い組織・団体からあがっているにも関わらず、日本政府は「協定の改定を提起すれば日本は孤立する」という“日本孤立”論をふりまいています。これを打ち破ることが最大の課題となっています。

 全国食健連は、閣僚会議に監視団を送るとともに、来春二月に国際シンポの開催を準備。ヨーロッパ、アメリカ、アジアから名立たるパネリストを呼んで開かれるこのシンポの意義を、小林節夫・農民連代表常任委員は「世界に大きな発信となるし、国内世論にも大きく影響する」と強調。坂口正明・食健連事務局長は「交渉に向けた『世界への私の一言アピール』を幅広く集めよう。農協・自治体などに賛同・カンパを働きかけシンポを成功させよう」と呼びかけました。

 第二に、このグリーンウエーブ行動が、多くの農協組合長が、エサ用に米を投げ売りする「構想」に反対の意思表示をしたことに示される「新たな共同の広がり」を、さらに自自公の悪政に怒る国民へと広げる場になるということです。小林氏は、「米関税化のやり方に見られるやましさ、後ろめたさに現れているように、守勢に立たされているのは自自公。攻勢的に打って出よう」と訴えました。

 二十六日の会議では、伊庭みか子・安全な食と環境を考えるネットワーク事務局長が、「世界の農業・農村見て歩き」と題して特別講演しました。
 会議で確認された99グリーンウエーブ行動の概要は以下の通りです。

一、行動スローガン
 「やっぱり食べよう、日本のお米・農畜産物」「各国の食料主権を尊重するWTO協定に」「政府は、食料自給率向上に責任を持て」

二、要求
 (1)食料自給率向上に役立つ農政への転換を。米輸入を拡大しながら、豊作だからと国内産米をエサ用として処理する計画はやめよ、(2)遺伝子組み換え食品は、全面的に表示せよ、(3)学校給食への補助削減・民間委託をやめ、地元農畜産物の活用を、(4)WTO協定は改定せよ

三、グリーンウエーブ行動を、「第一波」(十月初旬から十二月初旬まで)と、「第二波」(来年の新春宣伝から二月末に予定される「国際シンポ」まで)に設定しとりくむ

四、行動内容
 (1)網の目の宣伝行動、農協・自治体などとの対話、「国際シンポ」への賛同・カンパの申し入れ、団体・個人の「食料自給率引き上げ求める」請願署名、「世界への私の一言アピール」、(2)地域でのシンポジウム・学習会・講演会の開催、(3)生産・流通・加工の現場のとりくみ、(4)「お米を守る中央行動」(十一月上旬)、中央終結集会(十一月下旬)、WTO閣僚会議監視団の報告会を開く、(5)食・文化を楽しむ企画、(6)地域食健連の結成


農水省の姿勢を追及

農民連・食健連代表が交渉

 農民連と食健連は、会議後の九月二十七日さっそく、米の投げ売りの中止やWTO協定の改定、学校給食の米・牛乳への補助継続などを求めて農水省と交渉。あくまで“日本孤立論”に固執する農水省は、参加者の要望には言い訳、言い逃れに終始する一方で、「協定の改定は提起しない」と明言しました。

 交渉で、農水省は、次期交渉に向けて、農業の多面的機能、食料安全保障、公平な貿易ルールの三点を主張すると説明。しかしミニマムアクセス米を減らすのかといえば、そんな気概はまったくないということがはっきりしました。

 「『いらない外米は輸入しない』という協定に改定しろ」との要求に対し、言を左右にして答えず。「それなら主張が受け入れられなければ、米の問題を提起すらしないのか」については答えずに、「先進国が保護貿易を続けるのはよくないという声が、発展途上国からもあがっているので、改定は提起しない」と述べました。

 「いらない米を無理矢理輸入させるのが自由貿易か。押し売りじゃないか」との声に、またまた韓国のWTOへの通報を持ち出し、「輸入実績と理解している」などと答弁。「韓国の通関統計も見たのか」と聞けば、「見ていない」「論評する立場にない」「上司と相談させてもらいます」。通関統計を見れば、韓国が協定どおりに輸入していないことが明らかになるので「これだけは言えない」というのが見え見え。さらに「通関統計を提出しろ。できないならその理由を言え」と詰め寄ると、「それも上司と…」としどろもどろでした。


“米投げ売り”で県中と懇談

富山/農民連と食健連代表

 富山県農民連は富山食健連とともに、九月十三日、富山県農協中央会と、米投げ売り問題で二回目の懇談を行いました。農民連からは森川会長、岩河副会長ら五人、食健連からは県労連の友椙副議長、新婦人の土肥事務局長が参加。

 応対した富山県農協中央会の藤畑農政部次長は、県内農協の組織討議結果と全中への回答について、「二十八農協のうち二十農協から組織討議の結果が報告された。エサなどに処理する”新たな調整方法の導入について”は十一農協が反対し九農協が賛成で、県中のまとめとして全中には反対を表明した。また、組合長会議では、全中にはもっと強い態度で要請してほしいとの声もあった」と説明しました。これは農民連が各農協と懇談した成果として結集されたもので、私たちの大きな確信となりました。

 この後、新潟、富山、石川、福井の北陸四県の農協中央会は、九月二十日に農協中央会長名で、全中に対し「政府の責任において処理をする」ことを求める要請を提出しました。

 この後日、中央会から農民連に「北陸四県で緊急要請することにしたので、ついては農民連の皆さんにはよろしくお伝え下さい」と電話があり、行動してこそ、変化も起こるとの思いを強くしました。

(富山県連・水越久男)

(新聞「農民」1999.10.11付)
ライン

1999年10月

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