「農民」記事データベース991004-422-08

4年越しの区画整理反対運動

町が「事実上断念」へ

神奈川・愛川町「町づくりの会」


 神奈川県愛川町の「みんなでめざす町づくりの会」は、四年間にわたる粘り強い運動に取り組み、同町の進めていた農地を含む土地区画整理事業を事実上、断念させました。

 町は一九九二年に「庁舎周辺の核づくり事業」を行うために三十八ヘクタールの土地区画整理事業を計画、関係地権者は約二百五十人。対象面積のうち、優良な農地が約五割近くも含まれています。区画整理事業の減歩率が二五〜三〇%予定され、農地は削られ、さらに調整区域から市街化区域に変更されるために固定資産税が十アール当たり千円が五万円から十万円と五十〜百倍にもはね上がるという事態も予測されました。

 一方、町当局は地権者に測量の同意を求めて職員を連日のように訪ねさせました。内容がわからないまま七割の地権者が印を押すという状況も生まれました。

 こうしたなかで、農民組合愛川支部の諏訪部衛人さん(県連青年部)たちは、区画整理理事業とはどういうものか、減歩とは何かについて地権者を集めて学習会などを繰り返し開き、理解を深めてきました。そして九六年六月に「みんなでめざす町づくりの会」を地権者など六十戸で結成。諏訪部衛人さんが代表に選出されました。

 「町づくりの会」は、県都市計画審議会委員の県農業会議議長をはじめ関係者に対して、農業・農地を守るよう要請。また、この計画に反対する意見書を同審議会に提出する運動に取り組み、千二百人余の意見書を提出、賛成意見書二百五十人を圧倒しました。

 会のこうした運動によって、町長は「関係地権者皆様の御意向、景気、財政事情の長期的視野に立って慎重にその推移を見る」と七月初めに通知を出し、事実上、計画をあきらめざるをえなくなったものです。

 神奈川農民連では、来年度に予定されている都市計画の線引きの見直しに当たり、市街化区域への編入を前提にして当該区域に設定されている「特定保留フレーム」を撤回することなどを求める要求書を九月六日に県知事へ提出しました。

 会では、きっぱりと断念させるまで「住民本位・住民参加の町づくりを!押しつけの区画整理はやめて下さい」と書いた大看板を建て続けています。

(新聞「農民」1999.10.4付)
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1999年10月

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