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農民連分析センターが検査

“新米”から古米ゾロゾロ、7品目すべて「黒」判定

首都圏のスーパーなど販売、公然とインチキ表示

産直新米からは検出せず


 「食べて満足。価格に満足」「ふっくらおいしい高品質精米」「豊穰の味」…。出来秋を迎え、スーパーに高く積まれた“新米”。しかし、キャッチフレーズだけはおいしそうな“新米”から、古米がゾロゾロ検出されました。

 農民連食品分析センターが、市販されている“新米”七品目を「米の鮮度判定試験液」()を使って検査したところ、そのすべてから古米を検出。“米のダブつき”宣伝で農家からは買いたたき、古米を混ぜたニセ表示で消費者をだまして利益をあげている実態が浮き彫になりました。同時に検査した千葉県山田町農民組合の産直新米からは全く検出されませんでした。

 検査した“新米”は、いずれも首都圏のスーパー、ディスカウントショップで五キロ二千円前後で売られているもの。もしも表示どおりならば原価割れの値段。インチキ新米の予想はつきましたが、それにしても、全品目から古米が検出されるとは!
 検査対象の七品目は、産地が千葉・茨城、銘柄はコシヒカリとふさおとめ。一品目は産地、銘柄とも不明です()。

 検査はまず、米を百粒(二グラム)づつ取り分け、試験液を加え軽く揺すってしばらく待ち、試液の色合いを見ました。新米は緑色、古米は橙色に着色します。山田町の産直米が深い緑色なのに比べ、市販の米は赤みがかっているのが一目瞭然。
 次に、試液を捨て、橙色の米粒の割合を調べます。
 「複数原料使用(11年産百%)」とあるだけ、表示義務違反の「新米―ミツハシ大満足」(都内のダイエー店で五キロ千八百九十円で販売)からは、古米が二割検出されました。米袋には「大満足」という文字が踊っていますが、古米を新米と偽って売るミツハシこそ“大満足”でしょう。

オーストラリア産新米からも

 同じ店で売っていた「オーストラリア産新米コシヒカリ」(ミツハシ、二キロ八百五十円)からも一割の古米を検出。輸入米にも古米が混っていたことは驚きです。いったいどこの国の米が混っているのか、わかったものではありません。

 混入の割合が二番目に高かったナンブ精米の「千葉産コシヒカリ」(川口市内のライフで五キロ千九百八十円で購入)。産地限定(市原市)とありますが、なんと二五%も混入。試液の橙色も、比較のために検査した前年産(98年産)の「新潟コシヒカリ」と同じ。
 「味わい深い色・艶・形」の謳い文句がむなしくなるほど腹白米、砕米が目立つ「茨城産コシヒカリ」(河内米穀、五キロ千八百八十円)からは古米一五%を検出。また、「千葉産コシヒカリ」(木徳、五キロ二千百八十円)、「千葉産ふさおとめ」(千葉食糧、五キロ千九百八十円)にも、それぞれ一〇%、一五%古米が混入していました。

 米は、産地や産年、品種の表示が義務づけられています。古米を混ぜて新米として売ることは、完全に虚偽表示です。しかも、混ぜられている古米はかなり古い可能性大。今年二月から七月までに売られた政府米の九割近くは95年産(つまり古古古古米)だからです。
 販売業者の表示欄には、オーストラリアから開発輸入している「ミツハシ」、ベトナムに乗り出している「木徳」といった大手米卸の名前もあります。

 農民連食品分析センターの石黒昌孝所長は、「古米だけでなく、品種や銘柄も違うことも考えられ、外米混じりの可能性が大きい。遺伝子分析によって、こうした事実も明らかにしたい」と語っています。
 いま農民は、今年産米の仮渡金が二千円も下がり、たいへん苦労しています。豊作になれば一俵(60キロ)六百円で買いたたく構想が進行している中で、安売りで米価値下げを加速する商社、大スーパーのインチキ商法は断じて許せません。

新米の分析一覧表
農民連食品分析センター
品名山田町農民組合
愛情ゆうき米
ミツハシ大満足
新米(産地混合)
千葉の米
ふさおとめ
新米コシヒカリ
(茨城産)
古米割合0%25%15%15%
性状新米が全部で、腹白もほんどないオーストラリア産コシヒカリと類似した性状を有する古米、腹白、くず米などが見られる古米、腹白、細かいくず米などが見られる。産年の記載なし
精米業者地元精米所ミツハシ千葉食糧河内米穀
購入先地元直送光が丘ダイエー舟橋マルエツ練馬スーパー浜新
価格3,000円(5K)1,890円(5K)1,980円(5K)1,880円(5K)
精米日99.9.1099.9.799.9.899.9.11
品名千葉コシヒカリ
産地(市原)限定
千葉県産
コシヒカリ
茨城産
コシヒカリ
オーストラリア産
コシヒカリ
古米割合25%10%30%10%
性状古米、腹白、くず米などが見られる古米、くず米などが見られる古米、腹白、くず米などが見られる古米が見られる
精米業者ナンブ精米木徳オーカー米穀ミツハシ
購入先川口市ライフ足立区サティ練馬スーパー浜新光が丘ダイエー
価格1,890円(5K)2,180円(5K)1,880円(5K)850円(5K)
精米日99.9.1099.9.1199.9.999.9.10

〈注〉米の鮮度判定試験液 メチルレッドとブロームチモールブルーの混合液をアルカリで調整したもの。古米の脂肪が分解してできた酸に反応し、新米は緑色、古米なら橙色に着色します。分析センターでは、スポイト、ビーカーをセットにしたキットを販売し、全国的な調査を呼びかけています。価格は二千五百円(送料込み)。連絡先・TEL03-3975-4481

(新聞「農民」1999.9.27付)
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1999年9月

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