「過剰在庫」口実に買いたたきの裏でまかり通るニセ“銘柄米”古米、外米を大量ブレンド。六銘柄中、ニセが五銘柄も「朝日」報道
“四割が売れ残り、平均価格は昨年同期比九・七%ダウンの一万七千八百二十八円”八月三十一日に行われた今年産自主流通米の初の本格的な入札は“買い渋りと買いたたき”でスタートしました。
主要銘柄をみると、新潟一般コシヒカリが三千三百二十八円(一四%安)、魚沼コシヒカリ五千九百六十円(一八%安)などなど、一昨年並みの暴落。農協側が初めから買いたたきを見込んだ「希望価格」を提示しましたが、「豊作による先安」をにらんだ大手卸の“談合”的買い渋りと買いたたきの前になすすべがないという状況です。 昨年産米は減反・不作で不足なはず共適しているのは「昨年産米の過剰在庫」を理由にしていること。しかし史上最大の減反と不作によって、昨年産米は二カ月半相当(百万トン)不足しており、まともな商売をしていれば“過剰”どころか不足のはず。昨年、卸や計画外流通米業者は“新米不足”を見越して米を買い付けましたが、「安いブレンド用原料が大量に出回って目算が狂った」(ある卸)といいます。 表から明らかなように、「不足」を「過剰」に転換させた犯人「安いブレンド用原料」は、外米と古米です。減反と不作によって昨年産米(自主流通米と計画外流通米)は四十万トン以上不足。これに対して、政府米(その主力は九五年産の「古古古米」)の販売量は二倍近く、外米(SBS=売買同時入札)は三倍近くに増えています。
「朝日新聞」(九月二日)によると、大手スーパーやディスカウントショップから買った「激安米」六銘柄(魚沼・新潟コシヒカリ、宮崎新米コシヒカリ、秋田あきたこまち)のうち、表示通りの本物はたった一銘柄で、残りはクズ米や「古古古米」がブレンドされたインチキ米。「産地や銘柄、年産も確認していない……検査外の三等品をかき集めた商品」であることを認めた業者もいるといいます。
「朝日」は検査していませんが、外米が大量にブレンドされている可能性も大です。表から明らかなように、SBS輸入米(中国産「ひとめぼれ」やアメリカ産「こまち」、オーストラリア産コシなどの「うるち」玄・精米)が全量主食米に回ったとしても、なお三十万トン近く不足しています。「加工用」として輸入される「砕米」やSBS以外の「一般輸入米」のかなりの部分が主食用に化け、「国産米」としてまかり通っていると考えなければ説明がつかない事態です。 悪徳商法に拍車“600円投げ売り”九五年産米の売却価格は一俵一万二千九百円、中国米は一万三千二百円。こういう“激安”の米を「国産新米」といつわって販売する一方で、この水準に照準を合わせて買いたたく農民・消費者双方にとって悪徳商法そのものですが、政府はこれをやめさせるどころか、さらにあおりたてています。
その代表例が、豊作による“過剰”分をエサ用に一俵六百円(十キロ六十円!)で投げ売りさせる構想。しかも政府・自民党は「価格の大幅下落の回避」を口実に、来年からではなく、この十一月から「緊急米過剰対策」をスタートさせることをねらっています。八月十五日現在の作況指数が「一〇三」になったため。
「豊作」といっても、せいぜい平年作を三ポイント上回るだけ。これまで一ポイントは十万トンに相当するといわれてきましたが、生産量が九百万トンの現在、一ポイントは九万トンで“過剰”分は二十七万トン。ミニマム・アクセス外米(六十四万四千トン)を四割カットすれば消えてなくなります。
(新聞「農民」1999.9.6/13付)
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[1999年9月]
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