遺伝子組み替え食品農水省最終案は抜け穴だらけ9割が表示の対象から除外
農水省は八月十日、食品表示問題懇談会遺伝子組み換え食品部会を開き、遺伝子組み換え食品の最終的な表示案をまとめました。
その反面、すでに遺伝子組み換え種が三〇〜五〇%近くも混入しているアメリカ産大豆、トウモロコシ、カナダ産ナタネなどの大半を原料として使用している食用油、醤油、畜産用の飼料は表示の対象外となります。現在、日本には年間六百万トン以上の遺伝子組み換え作物・加工品がアメリカなどから入っていますが、これではその九割が表示を免れることになり、表示とは全く名ばかりのものです。 さらに非組み換え農産物を現地から分別して輸入する場合、最大五%までは遺伝子組み換え原料が混入していても認め、「組み換えでないものを分別」などと任意表示できることにしています。ところがEUでは「二%以上含むものは、遺伝子組み換え使用の表示が必要」であり、スイスの場合は「一%以上混入していれば遺伝子組み換え」とされています。これではヨーロッパで遺伝子組み換え食品として排除されたものが、日本に来れば非組み換え食品として高いプレミアをつけて輸入されてくる可能性もあります。 こうした抜け穴だらけの表示の義務化ですが、アメリカは日本に対し、「新たな貿易障壁」だと反発し、具体的表示について様々な干渉を強めてくることが予想されます。またアメリカは、次期WTO農業交渉の主要テーマに「科学的根拠に基づく貿易ルールの確立」を求めて、遺伝子組み換え食品のいっそうの押し付けを狙っています。 一方、今回の表示では、これまで植物防疫法上輸入が禁止されている生食用のジャガイモやトウモロコシなども表示義務づけ品目に追加しています。これはいま農水省がイネの遺伝子組み換えの実用化をめざす「二十一世紀クリーン・フロンティア研究」などと関連し、同時にモンサント社などのバイオ企業が日本の農家に遺伝子組み換え作物の作付けを持ち込もうと狙っているのを視野に入れているのではないかと考えられます。 (T)
遺伝子組み替え食品の最終表示内容
(新聞「農民」1999.8.23付)
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[1999年8月]
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