転作奨励金打ち切りまでたくらむ農水省
農水省は、米の投げ売りだけでなく、転作奨励金の廃止までねらっています。
一九八三年の「第二次臨調答申」以来、「転作奨励金依存からの脱却」つまり転作奨励金の打ち切りは、政府・自民党の長年の宿願でした。 いきなり転作奨励金をゼロにすることに対しては、当然強い抵抗があります。それで持ち出したのが“自給率の低い麦・大豆に助成を重点化する”という議論。 「自給率向上」を殺し文句に農水省の“減反「改革」大綱”=「水田を中心とした土地利用型農業の活性化の基本方向」(七月十四日)によると――。(1)今後は減反に協力しただけでは奨励金は出さない (2)麦・大豆などを、規模拡大して低コストで生産する人に限って奨励金を出す (3)野菜・果実についてはわずかばかりの助成金を出すが、二〜三年で打ち止め。 ――要するに「自給率向上」を殺し文句に、これまでは減反・転作に応じた農家がすべてもらえた転作奨励金をかすめ取り、ごく限られた農家にしか出さないというねらいです。 しかし、本気で自給率を向上させようというのであれば、思い切った財源確保が必要です。ところが「当てにできる自給率向上の財源は、転作奨励金ぐらい」(農水省幹部、日本農業新聞、七月二十一日)――。自給率向上はほんの掛け声で、本音は転作奨励金のかすめ取りという本音は見え見えです。 将来は麦、大豆奨励金も廃止さらに問題なのは“将来的には、転作奨励金も、稲作経営安定対策(米価補てん制度)もゴッチャにして、大規模農家の「経営安定措置」の財源にあてる”という方針です。
米価補てん制度は、自主流通米助成金をかすめ取って作られたもの。今度は転作奨励金もかすめ取り、両方の財源を合わせて作る「経営安定措置」とはどういうものか――。
カナダはもともと価格保障制度がなかった国。
(新聞「農民」1999.8.16付)
|
[1999年8月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-1999, 農民運動全国連合会