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スイスを訪ねて

自然や農業を大事にする国

伊藤敏夫(新潟県)


 私たち夫婦は、五月末から六月初めにかけてスイスのハームというところに行って来ました。妻の姪がスイス人と結婚し、そこに住んでいるので訪ねたのですが、スイスの人たちが自然や農業を大事に守っているのを目にしました。

 姪夫婦の住む近くに農場があります。そこには野菜や卵、牛乳、果物、肉、チーズなどの無人販売所がありました。冷蔵庫もあって、卵や牛乳、肉、チーズなどが入っています。お客さんが目方や分量を計って買うようになっています。
 その農場には、柵がありますが、鶏も兎も牛も馬も豚も野外でのびのびと動き回っていました。

 姪は、その販売所から食品を買って来て、食卓に並べてくれました。すべての物に香りがあり、本当においしいのです。結構値段は高く、卵は日本円で五十円くらい。
 スイス人たちは、観光資源でもある自国の美しい自然を守っているのは農家だという意識が高く、農家を大事にしているので、農産物の価格が高いのは当然だと思っているようです。
 また、街角には朝市が立ち、野菜、果物、肉、パンなどが豊富に並べられているし、花屋さんも店を広げ、にぎわっていました。

 どこの家にも塀がなく、庭やベランダにいっぱい植えられた花が道路から眺められます。
 国中牧場と言ってもいいくらい、いたるところに牧場があって、カウベルの音がのどかです。街のあちこちに、石造りの大きな水槽が据えられ、牛の水飲み場となっています。どこにいても牛の匂いがします。
 私がとくに驚いたのは、路肩に低い柵があり、それが道路にカエルが跳び出さないように保護していると聞いたときです。自然を大事にしている出来事だと思いました。

 チューリッヒ近くのゴルダウ動物公園という自然公園も素晴らしいものでした。岩がごろごろする広大な森に動物が遊んでいました。外国から輸入したゾウやキリンなどのような動物はいません。スイスの野山にいる動物だけです。シカがたくさん私たちの側に寄ってきました。

 私は、新発田市の「水と緑を守る会」の会員です。スイスの自然を見て、日本の自然が息絶え絶えて助けを求めているように思われてなりません。

(新聞「農民」1999.7.26付)
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1999年7月

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