産直運動10年、21世紀に向け新たな発展を新日本婦人の会高田公子副会長に聞く来春は新婦人と農民連が産直運動に取り組んで10周年。新婦人第115回中央委員会(6月6日開催)では、産直運動の新たな発展をめざす方針を決めました。新しい方針の特徴について、高田公子副会長におおいに語っていただきました。
産直運動やってきてよかった1990年4月に農民連と本格的に産直運動をスタートさせて、来春、10周年を迎えます。産直を始めた当時、子どもたちのアトピーが急増し、お母さんたちのなかから「安心できる食べ物がほしい」という切実な声が相次ぎました。調べてみたら、輸入食品の急増と、アトピーになる子どもたちの増え方のカーブはまったく同じでした。
そのころは食料自給率が48%でしたが、いまは41%に下がりました。ですから総理府の調査でも「外国産より高くても国産物がほしい」という回答が10年間で10ポイントも上がり、83%にもなっています。 10周年という区切りのなかで、東京では「夏まつり」が行われ、大阪でも6月24日から27日にかけて、福島・石川農民連の生産者64人をお迎えして203カ所で1800人の新婦人の会員さんらと交流しています。神奈川でも6月に農民連と産直センターが協力して「お試しボックス」800を準備して、「800ボックス増やそう」行動をやり、300〜400ボックスが新たに増えています。 「苦手な野菜」も乗り越えてずっと野菜ボックスを取り続けている人からすると、「同じものが続く」とか、内容に対する不満や注文が出てきているのも事実です。とりわけ若いお母さんたちは、ゴボウとかモロヘイヤが苦手で、こういうものが続いたときは、食べきれないこともあって「やめたい」という声が出てきたりします。
それに対して小さいボックスを作ってもらったり、あるいは1週間ごとに隣の会員さん同士がとりかえっこして食べるようにするなど、いろいろ工夫しながらボックスを減らさないように乗り越えてきました。 消費者は、いつでもどこでも好きなものを買えるというふうに慣らされています。消費者自身が乗り越えていく課題も、野菜ボックスを通じて学ばされてきたと思いますが、もっと交流して、いいボックスにしたいと思っています。 「苦手な野菜」も乗り越えていま全国で新婦人の班は11000ありますが、そのうち50%、約5500の班に10000を超える産直小組があります。農民連の方々にきていただいて、学習会、交流会が全国各地で開かれ、「新婦人だけで学習するより、農民連の方々がくると、ぼくとつな言葉なんだけど、なんかすごい重みがある」と会員さんは言います。 同じものが続いたり、緑の野菜がないという時期があっても、食べて安心できるということと、産直野菜を食べることによって日本農業を守れないと、安心して食べられない。自分の要求とピタッと合っているこういうことが交流のなかで、しっかりつかまれています。 昨年8月、梅雨が空けないまま、穂が出てしまって非常に心配していた時期に、福島県農民連の会長さんから大阪の新婦人本部に手紙が送られてきました。 「今日も雨。ことしは減反と価格暴落で、農家の所得は3割減った。宮沢賢治のときは、寒さの夏にオロオロ歩くしかなかったが、私たちは違う。農民の心をわかってくれ、激励してくれる人がいる。私たちは降りしきる雨のなか、稲の穂を手のひらにのせ、そっとつぶやく。『オマエを待っている人たちのために一生懸命がんばろう』と」 大阪の新婦人の人たちは、この手紙を持ってみんな泣きながら、絵手紙を書いたり、手紙を書いて激励しました。「産直の仲間を増やすことで農民連に応えたい」と、職場でも地域でも手紙を持って回って訴えたそうです。 ともに農を守り自給率高めよう遺伝子組み換えが大きな社会的な問題になった頃から、私たちはとりわけ大豆について心配していました。大豆の自給率が3%になってしまって、国産の大豆がない。大豆は、いろいろな加工品として食べていますから、安全性がはっきりしていない遺伝子組み換えが入ってきたら……と、不安が広がっています。
第115中央委員会では
とくに新農基法によって価格保障がなくなれば、大豆から小麦から全部ダメになっていきますよね。 楽しく豊かな産直運動をしかも、手作りは仲間と一緒にしますので、仲間の連帯も生まれます。産直野菜だと毎週とらなければなりませんが、職場で夜遅くまで働く一人身の人だと、なかなか参加できません。「これなら、私も産直運動に参加できる」と、職場のなかでも新たな広がりになっています。それから、東京・東久留米の「こぶし班」が長野県農民連とリンゴの木オーナーに取り組み、次々と波及しています。リンゴの花で染色もできるんですって。女性たちは、布を染める喜びも考え、次々と夢をふくらませているのです。 いま、リンゴだけではなくて文旦とかミカンとかお茶とか、農業がつぶされようとしてきているなかで、いままで積み上げてきた産直をよりいっそう発展させていく方向があるんじゃないかと話し合っています。
農民連の方々が「ものを作ってこそ農民」と言っていますが、その姿に、私たちは毎週の産直ボックスを通じて、とても励まされています。
(新聞「農民」1999.7.26付)
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[1999年7月]
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