食糧政策研「WTO体制下のコメと食料」をテーマに創立20周年記念シンポ
農業・食糧関係の学者・研究者の自主的な集まりである食糧政策研究会(代表幹事=河相一成、千葉僚郎、井野隆一)は、六月二十五日、東京都内で創立二〇周年を記念してシンポ「WTO体制下のコメと食糧」を開き、研究者、消費者、労働組合、農民連など六十数人が参加しました。 シンポでは、河相代表幹事から「WTO協定はアメリカ・多国籍企業の大儲けの障害をなくすための協定であり、新農基法はその実施法。WTO協定の改定を国民の共同で実現しよう」と基調報告があり、村田武、石井啓雄、三国英実、渡辺信夫各氏から次のような報告がありました。 「十五ヘクタールの米作農家は昨年、前年より三百三十二万円も収入減。ところが稲作経営安定対策では拠出金二十六万円に対し交付金が三十七万円で、実質補てんはわずか十一万円にすぎなかった」(村田氏)、「米価は最低二万円必要。ミニマム・アクセス輸入の中止、棚上げ備蓄、自主米センターの制限措置で米価の保障を」(三国氏)、「ヨーロッパでは価格保障は当たり前。条件不利地域の直接支払いを大胆に」(石井氏)、「商社とスーパーの進出で卸も小売りも潰され、ニセモノが横行している。国民本位の流通をみんなで築こう」(渡辺氏)。 会場に集まった人々の顔ぶれも多彩。主婦連副会長の清水鳩子さんなど消費者が「輸入を不安に思っている人が九割以上いる。国産米を主食に学校、病院、家庭で、日本食を守っていく。そのためにも農業を守りたい」と発言すれば、全労連副議長の鈴木彰さんは「戦争法、盗聴法などでかつてない共同が広がっている。関心が薄いといわれるが、この秋は食と農、地域経済、介護保険を全国で取り組む」と決意表明。 農民連の小林代表常任委員は「来年、WTO協定改定をめざして国際シンポを開き世論をもりあげたい。政府は、米が平年作以上にあるとエサ・援助用に投げ売りさせることをねらっている。新農基法の価格保障廃止の先取りだ。消費者はもちろん、卸・仲卸などの流通業者や関連産業労働者などの仲間と共同を進めたい。ものを作っている仲間は元気。食と農を守る共同を広げていこう」と発言しました。
(新聞「農民」1999.7.12付)
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[1999年7月]
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