「農民」記事データベース990712-412-03

減反100%やっても余ったら――

新米1俵600円、なんとラーメン1杯分

やっぱり本気! 農水省が公式文書


 “減反を一〇〇%やっても米が余ったら、生産者がエサ用や援助用に一俵六百円で投げ売りすべきだ”――政府は、こんなとんでもない政策を検討しています。
 これまでも業界紙や「読売」などが報道してきましたが、農水省の公式文書で裏付けられたのは初めて。

 問題の文書は、農水省が六月二十五日に開かれた自民党農業基本政策小委員会に提出した「『新たな米政策大綱』の推進状況等について――水田における米生産の現状と問題点」。
 論より証拠、農水省は次のようにのべています。

 「作況が百を超え、生産量が計画量を上回る場合に、生産者団体において、調整保管に代えて、生産オーバー分を自主的に主食用以外に処理する仕組みをあらかじめ設けておく……

 「生産者団体においても『新たな米政策大綱』の考え方を踏まえて、こうした議論が行われている

 ここには、三つ問題があります。

れっきとした新米も容赦なく

 「主食用以外」とは加工用、飼料用、援助用の三種類。このうち加工用はミニマム・アクセス外米をあてるので「聖域」扱いです。
 残りは飼料用・援助用ですが、大問題なのは、その値段。飼料用で一トン一〜二万円、援助用で三万円(六月十日、農民連との交渉で農水省が明言)。
 一番安い飼料用の場合、新米を一俵六百円、ラーメン一杯分で投げ売りしろというのです。

良質米だから大丈夫?
 「そんなバカな」と思うでしょうが、農水省が涼しい顔で言っている『主食用以外に処理する仕組み』とは、こういう意味です。
 「良質米地帯だから大丈夫」という人もいるかもしれません。しかし作況が百を超えたら、どこでも誰でもラーメン一杯分で投げ売りが迫られます。かりに地域間調整をするとしても、主食米との差額は「とも補償」になり、農家全体の負担は重くなるでしょう。

さらに米価下げる「毒薬」
 国会でも、政府は「自主流通米の値下がりを防ぐ」ことを口実に、この悪政を強行する意図を公言しています。しかし、これは、政府自身が自主流通米値下がりの仕組みを作って、病弊をひどくしながら、「良薬」と称して「毒薬」を処方するようなもの。

外米輸入をやめればいいのだ

 政府は、豊作を天下の悪事であるかのように言い、「その責任は農民がとれ」といわんばかりです。
 しかし話は逆。豊作になったら、外米の輸入をやめればいいではありませんか。農民連は農水省に、次のように要求しました。
 「韓国では、米の作況次第でミニマム・アクセス米の輸入量を変えている。日本でも、せめて豊作になったら外米の輸入をやめることぐらい検討すべきだ」

農協、自治体に事実知らせよう

 しかも、この投げ売りを「生産者団体に自主的に」やらせようというのです。
 こういうときには「助成金」をちらつかせるのが普通ですが、今度はゼロ。かりになんらかの助成を行うとしても、「減反見直し」のなかで転作助成金を廃止し、これを財源にするのが関の山です。

許すな! 米関税化と同じ手口
 こういう「アメとムチ」どころか「ムチと鉄砲」の悪政を「自民党農林幹部も事実上、了承しており、今後は全中・全農がどこまで下部組織の合意を得られるかが焦点」(「商系アドバイス」6月28日)といわれています。
 まもなく全中が、一俵六百円の投げ売りという焦点をぼかしたまま「組織討議」という名前の悪政の押しつけを始めます。主人公・組合員である農民に何も知らせずに「米関税化」を強行したのと同じ手口です。

 農協・農業委員会、自治体など、あらゆる人々に事実を知らせ「今度こそ、こんなバカなことは許さない」という声を全国でもりあげようではありませんか。

緊急国会請願署名運動を!

 「平年作以上になれば、米一俵六百円で投げ売りの危険」――農民連は、自民党政府のとんでもない悪政をやめさせるため、緊急に国会請願署名を呼びかけています。請願の締め切りは七月末。あなたも、この署名用紙をコピー・印刷して、署名にお力を貸してください。(署名用紙は新聞「農民」1999.7.12付に掲載しています)

(新聞「農民」1999.7.12付)
ライン

1999年7月

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