バイオ企業激化する種子争奪戦インディオのDNAまでインターネットで売り込み
“種子を制する者が世界を制す”――いま欧米や日本など先進国の政府、バイオ企業は、豊かな生物多様性をもち野性種の宝庫である南米やアジアの熱帯雨林地方に研究者を派遣して、種子や遺伝子資源の収集・争奪戦を行い、途上国との間で摩擦を生んでいます。 さきごろ来日したイギリスの生化学者メイ・ワン・ホーさんは、「遺伝子組み換え食品いらない! 5・31集会」の講演で、ブラジルで最近起きている驚くべき事実を次のように明らかにしました。 一、今月、ブラジルに行ってきたが、いま懸念され、注目さているのが特許の問題です。ブラジルには世界的なハイテクの大企業が乗り込み、「バイオ・パイレシー」(生命海賊行為)とも言うべき生命物質やその情報の略奪行為を働いている。 一、最近の例をあげると、現地で避妊薬として使われることもある「ビブル」という植物と、「プラニー」といって、消毒や魚を捕る毒に使われる植物の二つに特許がかけられるという事件が起きている。 一、また、ブラジル・インデオの細胞が入ったDNA(遺伝子)キットまで作られ、アメリカの企業がインターネットを使って、一個五百ドルで販売するということまで起きている。 日本政府も収集戦略に乗り出すとくにアメリカ政府やモンサントなどバイオ企業は集めた種子や遺伝子資源を特許で独占し、これを利用して、新たな遺伝子組み換え作物や食品を開発、世界各地に売り込むことを国家戦略として進めています。日本でも政府・自民党がアメリカの方法を真似て、バイオ育成「国家戦略」を立て、その中では有用遺伝子の収集、保存を進めるとしています。しかし、こうした遺伝子資源の収集・略奪行為にたいして途上国が強く反発し、自国の生物資源や種子を守る運動が高まっています。
(新聞「農民」1999.7.12付)
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[1999年7月]
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