「農民」記事データベース990705-411-14

感動よんだフォーク歌手・笠木透さんの詩

「わが北嶋誠へ」

「菜の花」ライブで朗読

 待望のヒューマン・ファーマーズのCD「菜の花が咲いたよ」が、今月いよいよ完成します。ライブレコーデングコンサートで会場を圧倒したのは、フォーク歌手の笠木透さんが朗読した「わが北嶋誠へ」の詩でした。
 この詩は、失明にもめげずに、「酪農を続ける」「オレを利用してくれ」と、農民運動に演奏活動に今まで以上に情熱を燃やす北嶋誠さんの前向きな生きざまへの応援歌であり、農業つぶしの悪政に抗してたたかう農民へのはげましの詩でもあります。CDの中には、笠木さんのこの詩も入っています。


田んぼを渡っていく風
波のようにゆれる青い稲
ふきぬけていく さわやかな風に
身をさらして
あぜ径に立っていると
あゝ 百姓でよかったと 君は思う

広がる関東平野の
はるかなかなたに 山が見える
天頂をめざして
むくむくと立ちのぼる積乱雲
緑の平野を まがりくねって
きらきらと流れていく 川が見える
俺は百姓だ
その どこが悪い!
そう言って はにかみながら
立ちつくしている 君がいる

どんなにきびしいことがあっても
どんなにつらいことがあっても
ちっとも つらそうな顔を見せず
いつも ユーモアとジョークを連発し
人を笑わせることばかりを考えてきた
君がいる

はげましてほしかったのは君だっただろう
笑いたかったのは 君だっただろう

君は この大地に立って
まっすぐに この国を見てきた
過酷な現実を凝視してきた

荒れていく休耕田を!
売られていく農地を!
離農して バラバラになっていく家族を!

一生働いて むくいられることのなかった
老いた百姓たちを!

その君が 光を失った
もう 君のやさしい瞳は ものを
見ることはない

でも、目をつぶって はじめて見えて
くるものがある
光を失って はじめてよく見えるも
のがあるはずだ

君は いま その心の目で
この国を見ている
ぼくらが見失ってしまったものを
ぼくらが見落としてしまったものを
ぼくらが見えることの出来ないものを
君は見ているのだ

その風景を
その現象を
その宇宙を
君は言葉にし 音にする

この国の百姓が 虐げられ つかれはて
涙を流しているとき
君のうたは この町から 風にのって
人々の胸に伝わっていくだろう

北嶋誠よ みんながいるぞ みんながいる
じゃないか
さあーみんなと一緒に
目をとじてごらんなさい 山が見えるで
しょう……

(茨城県連 飛田元雄/新聞「農民」1999.7.5付)
ライン

1999年7月

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