「農民」記事データベース990628-410-08

続・我田青春――稲作体験レポート(第2話)

手作業のつらさ初体験


 新入部員の堀内です。東京産直事務組合の事務局員として働きながら、大学院でマルクス経済学を学んでいます。

 六月十二日は苗の補植と草取りの作業日でした。強烈な日差しでしたが、時々爽やかな風が吹いて心地がよく、梅雨時とは思えない陽気でした。普段は屋外にいる時間が少なく、久しぶりにお天道様の下で働いたせいか、頭がややクラクラしてしまいました。頭上では、鳥たちが気持ちよさそうにさえずっています。そこは、しばし人間性を取り戻せる空間です。

人間性はどこへ?

 田んぼは、水が少なくなっていて、土が見えているところには、小さな草がたくさん生えていました。泥が深いせいか、除草車はうまくかかりません。今回頼りになるのは、人力そのものです。作業が始まると、人間性を取り戻すなどと言っている余裕はなくなってしまいました。
 田んぼに一歩足を踏み入れると、いきなりズボッと片足が膝上までセンってしまい、まるで底なし沼にはまったかのように身動きがとれなくなってしまいました。やっとのことで前へ進みますが、足を抜くと折角植えてあった苗が横に傾いてしまって、いったい何のために補植をしているかわからなくなってしまう始末。部の先輩、八田さん(セミプロ級)は、それでもサクサクと身軽に前に進んで作業をしています。それを見て、自分が情けないやら、歯がゆいやら。芹がたくさん生えていて、それを引き抜いては、畦に投げていきます。

芹がにくい?

 自生しているのは都会ではあまり見ないので、最初は愛しい芹でしたが、作業がきついので、だんだん憎らしく思えてきました。
 五月九日の田起こしの時には、機械が五分もしないうちに田んぼ一面を耕していくのを見て、日本農業の生産性の高さを直感していたのですが、やっぱり手作業となると、大変さをつくづく感じました。
 今回、入部したのは、生産点を知らずして経済を語れるか!という思いがかねてよりあったからなのですが、その点で言えば、早くもたくさんの収穫があったように思います。でも、本当は秋の収穫が一番楽しみです。

(堀内健一/新聞「農民」1999.6.28付)
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1999年6月

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