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大会決定に立ち返り、新しい情勢に見合った運動を

1999年6月5日 農民連第3回常任委員会


I 戦後農政をすべて転換する激変の情勢

(1)「新農基法」問題

 衆院で強行された「新農基法」は、自給率を向上させる国の責任を放棄し、農畜産物を自由化し、価格保障はすべて廃止、大企業が生産現場に進出できるようにして家族農業経営が成り立たないようにするというもので、WTO協定に基づいた戦後農政を大転換する重大な内容をもっています。
 いま、農水省は、「作況指数一〇〇を超えた米は一俵六百円で飼料用に処分する」という、とんでもない計画を検討しているといわれますが、これも新農基法を先取りしたものです。

(2)共同を進める条件の拡大

 今、自民党の悪政に苦しんでいるのは農民だけでなく、自治体や農業委員会、農協、農業関連産業なども同様です。市場が中央・地方を問わず、輸入農産物と量販店の横暴の中で矛盾が深まり、私たちと提携する条件を広げているのもその一つです。
 新農基法とのたたかいを通じて広がった自給率向上を求める世論にも注目する必要があります。
 いっせい地方選挙で自民党が大敗し、日本共産党が躍進するという有利な条件が生まれました。地域農業全体を視野に入れ、要求を基礎に、自治体、農協、農業委員会、生産諸団体などとの共同を広げる条件も広がっています。

(3)「ものを作る」運動の本格的な取り組みを

 いま、作れば売れる条件を切り開いており、生産現場に目を向けた運動を最重点におくことが決定的に重要です。「ものを作る」運動は、組織に活力を与え、諸課題を進める原動力にもなっており、私たちの組織と運動にとってまさに環となる課題です。

(4)大会以降の活動を振り返って

 第十一回大会から半年が経過しました。この間、米の関税化とのたたかいや、はげしくたたかわれたいっせい地方選挙などの関係で、意志統一や方針徹底が十分できなかったというのが全国的に共通しています。そのなかでも秋田県連などが新聞「農民」の拡大に取り組み、大きく前進しています。
 この教訓に学ぶとともに、全国大会と都道府県大会決定に立ち返って総括を行い、八月の全国研究交流集会を当面の節にした活動の具体化と実践を進めましょう。

II 後の課題と方針

――三つの柱
(1)新聞「農民」を先行した組織の拡大に飛躍させる
(2)ものを作り広げる運動を軸に、全国とブロックのネットワークを広げる
(3)WTO協定の改定をめざし食料自給率向上など一致点での共同を広げる

1 新聞「農民」の飛躍的な拡大をすすめよう

(1)前進した組織の教訓に学ぼう

 秋田など、前進した組織では、自主目標を明確にして県連役員会で徹底した論議を行い、忙しい中でも独自の取り組みを強めたことです。また、役員が率先して「三部チャレンジャー」に挑戦し、拡大運動の先頭にたったことです。取り組みの中で、「思い切って訴えれば、断る人はいない」という確信が広がり、農協の役・職員、自治体議員、職員、農業委員などに購読が広がっています。
 前進しなかった組織は、「いろいろな条件が重なって前進しなかった」で済ませずに、この教訓に深く学びましょう。

(2)自主目標を決め、全組合員参加の運動を貫こう

 都道府県連大会や単組の総会で決めた新聞「農民」と組合員の拡大目標を達成するために、当面、全国研究・交流集会(8月24〜26日)を節にした積極的な目標を設定しましょう。
 また、学習テキストの学習を力に、支部・班での話し合いを大切にし、全組合員参加の運動に広げましょう。

(3)全農業委員に総当たりを

 まわりの農家はもとより、全国で六万一千人いる農業委員に総当たりすることを軸に、農協の役・職員、自治体職員などを対象に、新聞「農民」の拡大を進めます。この取り組みを通じて、農業委員との対話を行い、地域農業を守る協力・共同を広げます。新聞「農民」6月14日付の「農業委員特集」と「農業委員への訴え」を活用しましょう。
 生産グループや直売所グループなどの団体加入も広げましょう。

2 生産・流通に関する課題の全国的前進を

(1)全国とブロックのネットワークの確立に全力を

 生産を広げ、全国ネット、ブロックネットの力を生かして、市場などとの提携を広げる取り組みは、単なる「販売対策」ではなく、流通の大きな変化のもとで、今後の流通のあり方を共同して探究する課題であり、すべての都道府県で取り組む課題です。
 上尾市場や名古屋北部市場に、全国から力を結集して取り組みを成功させましょう。生協などとの対話を広げ、ブロックや全国の力で取り組みを広げましょう。

(2)新婦人産直の改善に本格的に取り組もう

 「安全な食料を」「日本農業の再生で食料自給率の向上を」の観点から新婦人が農民連と共同して取り組む「トラスト運動」を、大豆、ナタネ油、そば、小麦粉など多面的な取り組みとして広げましょう。
 「新婦人がどうしたら増やせるのか」の視点で「野菜ボックス」の内容を充実させ、全国的な提携も具体的に追求しましょう。

(3)分析センター二千万円カンパ運動を成功させよう

3 地域農業全体を視野に入れた自治体と共同を

 荒廃地をなくし、地域の条件にあった農業再生をすすめるため、自治体や農業委員会に働きかけましょう。
 また、農民連が生産と地域農業再生の先頭に立とう。

4 新農基法やWTO協定改定に向けた課題

(1)WTO協定改定に向けたたたかい

 WTO協定を改定させるために、国民的なたたかいを進めるとともに、国際シンポジウムの開催など、国際的に世論を喚起するための取り組みを進めます。

(2)新農基法にたいする取り組み

 新聞「農民」を使って新農基法の内容・問題点を学習し、地域での宣伝を広げましょう。
 「修正では不十分、慎重な審議」を求める参議院農水委員、地元議員へのFAX要請、国会行動(火、木)を会員にまで広げましょう。農協、農業委員会、生産組合、消費者団体など広範な団体と懇談し、共同を広げましょう。

5 革新懇運動への積極的な参加を

 政治革新をテーマに党派をこえた幅広い団体・個人が結集する革新懇運動を、情勢が激変している農村で前進させましょう。

III 運動をすすめるために

(1)県連役員会を開いて方針を具体化し、単組への徹底と援助を急ぎましょう。
(2)都道府県連役員の意志統一のためのブロック会議を開きます。
(3)役員・専従者の研修と意志統一のための「農民連テキスト」を使ったブロック別研修会を設定します。
(4)全国研究・交流集会〔八月二十四日(火)〜二十六日(木)長野県飯山市〕を、当面の運動の節目とし、大きな飛躍で成功させましょう。

(新聞「農民」1999.6.21付)
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1999年6月

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