「農民」記事データベース990614-408-07

初夏の北陸路(石川・富山)を伝統食列車が走った

丹誠込めた郷土料理で交流

特別企画「お米談義」も好評でした/富山


キッチンはにぎやかな女性たちの声があふれて…ずらっと並んだ心づくしの料理に舌つづみを…
 「初夏の北陸路、米と魚の食文化をたずね」る伝統食列車第十号が五月二十七日から三十日、石川県と富山県を走りました。
 五月二十九日、伝統食列車を迎え入れた富山県砺波市の水越久美子さんからの現地リポートです。

■絶賛の声

 四カ月にわたる実行委員会(食健連)の献身的な努力が結実し、当日は特別企画「お米談議」と伝統食交流会も会場を埋め尽くす人々の熱気でいっぱい。
 COOPとなみの台所では、朝から小西絹江先生(富山県生活普及員)の指導のもと、境真由美農民連女性部長、佐々木久美子生協副理事長を中心に、生協、新婦人、農民連から集まった多数の女性たちがエプロン姿もかいがいしく忙しく立ち働きました。

 菜や味噌が煮え、赤飯の匂いが立ちこめ、車座になって芋がい餅をつく人、丸める人、あんをつける人など、それはそれは賑やかでまるでお祭りの日の心が浮き浮きするような華やかさにあふれています。
 散居村の境家の蔵に眠っていた漆の御膳やお椀、伊万里や九谷の古色蒼然たる器、各家々の大皿や鉢も並べられ、丹精こめて作った郷土食がきれいにならべられていきます。

 百二十人からなる交流会の夕べでは、砺波市長もあいさつし、どなたも料理の出来ばえに「素晴らしい」「よくこれだけ作ったわねぇ」などと絶賛。

■郷土民謡

 玄関先では、小西先生が活けられた山ぼうしの花が砺波野の初夏を涼しく彩り、遠来のお客を迎えました。
 「越中おわら」に続く「こきりこ」のやさしくもの哀しい調べが、「ささら」の音とともに会場に響くと、ふと誘われるように、この民謡のふるさと五筒山の山容が浮かんできます。

 「ささら」鳴る山懐を源に流れる庄川。その川沿いに扇状に広がる緑豊かな砺波平野。川が潤すこの地で代々土を耕し、種をまき、作付けされてきた五穀。遥かなおばあちゃんの温もりと知恵がいっぱい詰まった伝統食。私たちは、「よごし」や「おつけ」「にしめ」などを幾日もかけて作りました。参加者はひなびた野趣を味わい、いわれに耳を傾け、遠い昔から脈々と流れる水脈をさかのぼり、母なるルーツを探る旅をしたに違いありません。日本の農の営みと食文化を受け継ぎ、発展的に若い世代に渡すこと――日頃から聞きつけているその言葉の意味合いを全身で感じてお土産に持ち帰ったのではないでしょうか。

(新聞「農民」1999.6.14付)
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1999年6月

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