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たかが“大豆トラスト”されど“大豆トラスト”…

始めて1年、多様な産直運動に発展しました

茨城県南農民組合 小林恭子


 茨城県南農民組合では昨年、農民連も加わった遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの呼びかけにこたえ、トラスト運動をはじめました。

減反の田1町2反に作付け

 広大な水田地帯で年々増える減反押しつけに苦しんでいる東町の組合員に呼びかけ、大須賀班の板橋恭介さんの転作田一町二反(百二十アール)で大豆トラストに取り組むことにしました。
 この大須賀地区には三年程前、モンサント社が乗り込み、農家を集めて遺伝子組み換えのラウンドアップレディ大豆を試作してほしいと説明会を開いたが、農家の反対で実現出来なかったところ。この地が逆に遺伝子組み換え反対の大豆トラストに取り組むことになったわけです。

申し込み殺到230口も

 一口十坪(三三平方メートル)分を四千円で消費者が権利を買い、収穫した大豆か味噌と交換する方法をとり、新利根町の岡野味噌店(現県南農民組合長)も一緒に取り組みました。
 最初は「三反歩位いにしかならない」と思っていたのに、全国からの申し込み二百三十一口、百八十五人、七・七反(七七アール)にまで広がりました。
 とはいえトラストの申し込みは、予定した大豆畑の六〇%、残りの畑から収穫した大豆も消化しようと、トラスト参加者との学習交流会、草取り、枝豆採り、味噌作り、豆腐作り講習などの交流を通じて訴えました。また各地の産直組織への協力や加工業者との話し合いも続けてきました。

多彩な交流で産直は大モテ

 その結果、ことし三月までに県西産直センターや茨城産直ネットを通じて二百十三俵の大豆が販売でき(板橋さんの残りの大豆も完売)、そのうち六十俵余が埼玉のきんまる星醤油に納入、今年の暮れにはトラスト醤油が製品化します。
 また農民組合では、昨年「トラストニュース」を四回以上発行し、全参加者に運動の様子を知らせると同時に、大豆以外にも安全な産直米、野菜、遺伝子組み換えでない国産調味料(みそ、醤油、菜種油、ゴマ油、トンカツソース、ケチャップ、マヨネーズ)、麦茶、黒豆、麺など希望に応じて斡旋、多様な産直運動へと発展しています。
 参加者からは「大豆トラストに加わると親戚のようなつきないが出来る」と喜び、楽しい手紙もたくさん寄せられ、はるばる横浜から車を走らせて米を買いにくる参加者もいます。

評判が広がって新しい参加者も

 また組合の女性部「野ばらの会」がおこなった豆腐作りに参加したトラスト参加者は、手作り豆腐の美味しさに感動、この話を職場の仲間にしたところみんなで行こうということになり、七月には大型バスで四十人程の労働組合員がやってきて、豆腐作りの講習会と「農業・遺伝子組み換え食品の学習会」を開く企画も進行中です。
 さらにことしのトラストは、新婦人東京都本部と産直協との組織的な運動に発展させ、大豆だけでなく醤油や味噌などをセットにして扱う話も進んでいます。
 わずか一年で、こういう大きな取り組みになり、「組織の力がなくては、これだけのことは出来ない」と生産者の板橋さんも大きな確信になり、ことしの大豆トラストは、大須賀班女性部として取り組むと、大いに意欲を燃やしています。
 まさに”たかが大豆トラスト””されど大豆トラスト”です。


広島、新潟でも意欲的な取り組み

今年は一段とパワーアップ/広島・木戸菊雄

 大豆トラスト運動も二年目を迎え、参加希望者は昨年の倍になりました。希望者の中には、地元のお餅屋さんもいて、「大豆加工に力を貸してやろう」と言ってくれ、新聞「農民」の読者になってもらいました。
 種まきの予定は六月十三日で、参加者が待ちわびる圃場は、裏技を駆使して昨年よりパワーアップしました。裏技といっても危ないことをしているのではなく、堆肥散布のため利用したトラクターで牽引したマニアスプレッダー(堆肥散布機)が前進のままではヘアピンカーブがあって、近所の牛舎からほんの二百五十メートルの距離なのに圃場へは百メートルはバックで走らなければならなかった。牽引バックのテクニックを冴えさせて、有機質肥料を投入することが出来ました。
 大豆トラストの圃場は着々準備されています。
(世羅郡世羅町加茂九13-4 TEL08472-7-1629)

女性団体にも呼びかけて/新潟・松井三男

 新潟農民連の豊栄支部(帆苅善一郎会長)では、ことしから大豆トラスト運動への参加をきめ、五月二十一日の役員会でつぎのような具体化を決めました。
 大豆畑は約二〇アール。豊栄市内の健康と生活を守る会の会員さんが病気で入院して耕作できなくなり、支部の副会長が管理を任された水田を畑にして使用します。土地が肥沃のため無肥料、無農薬栽培にします。
 五月下旬に耕運・砕土、六月十日すぎ播種、七月上・下旬に土寄せ、十月収穫の予定。また消費者との交流として枝豆交流会、収穫祭を兼ね豆腐を食べる会なども計画しています。
 組合員は、長いこと大豆作りを体験していないので二十四日は、地元の農協支所を訪ね、資材や機械の世話や栽培技術など相談にのってもらうことにしました。現在、トラストの申し込みは県外や市内から若干きていますが、地元の女性たちの味噌作り会や消費者に参加を呼びかけていく予定。
(豊栄市葛塚3346、農民連下越農民センター、TEL025-387-8454)


大豆トラスト参加希望者の申込みは六月中旬までに

 生産者と消費者が手を結んで、遺伝子組み換え食品を拒否し、国産大豆の自給率を高める大豆畑トラスト運動はことしで二年目を迎えました。今年は生産地も昨年の三倍以上の五十カ所を超え、北海道から九州にまで及んでいます。
 大豆の種まきの時期もきていますので、トラストに参加希望の方は、六月中旬までに次の方法で申し込んでください。
  1. トラストの方法は、一口十坪の畑の権利を四千円(場所によっては三千円)で買い取り、収穫した大豆(5キロ前後)か、加工した味噌(三キロ前後)を送る。一人何口でも申込み可能。
  2. 生産地リストの中から希望場所をきめ、直接生産地に申し込む。生産地リストは、送料百六十円切手を同封し農民連本部まで。現地から振替用紙が送られて金を振りこむ。

(新聞「農民」1999.6.7付)
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1999年6月

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