「農民」記事データベース990607-407-02

史上最大の減反を押しつける一方で

作況100超せば投げ売り

エサや援助用に新米1俵千円以下で/農水省・全中など検討


 史上最大の減反を押しつけ、そのうえ「豊作」になれば、作況一〇〇を超えた「過剰米」を一俵千円以下でエサや援助用に回す「出荷調整」を行う――農水省と全中・全農が、こんなことを検討していることが明らかになりました。「読売新聞」五月二十四日付が報じたもの。

 実は、この手の報道は今回が初めてではありません。米関税化が大詰を迎えていた昨年十二月十七日に米業界紙「商系アドバイス」が「作況指数が一〇〇以上になった場合、その生産オーバー分を生産者がエサ用と海外援助など主食用以外に処理するというこれまでにない手法の具体化が二〇〇〇年年産から検討される」と大きく報道していました。

輸入米こそ「調整」すべき

 第一に問題なのは、減反に加えて「出荷調整」を行うというやり方が、「輸入義務」でもないミニマム・アクセス米の輸入を“聖域”にし、日本の稲作農民を犠牲にして米の生産量と流通量を「調整」するものだという点です。「出荷調整」まで行わなければならないほど「過剰」なら、国民が食べもしない輸入米をこそ抑えるべきです。

 第二に「出荷調整」の中身は、主食用とまったく同じ米を主食用価格の二十分の一から三十分の一の水準で“投げ売り”しろというものです。現在、飼料用トウモロコシの輸入原価は一トン一万五千円。一俵(六十キロ)九百円です。
 一九八〇年代までは政府が財政負担して古米の「過剰米処理」を行っていましたが、今度は、農民の負担で、新米を「過剰米処理」しろというわけです。

信用できぬ政府の作況指数

 第三に“作況一〇〇以上の米は生産を予定していない米だ”というのが政府の言い分のようですが、政府が発表する作況と農民の実感とのへだたりは開く一方です。実際、昨年、北海道の作況は一〇五でしたが、農民の実感は一〇〇以下。それでも「一〇〇以上だ」と言い張って「過剰米」を投げ売りさせるとすれば、農民にとっては新たな買いたたき以外のなにものでもありません。

「新たな米政策」にも明記

 かなりハチャメチャなやり方ですが、昨年十一月に改定された「新たな米政策」には「作況が一〇〇を超える場合は、生産オーバー分を主食用以外に処理する機動的な対応を検討する」ことが明記されていました。
 関税化強化やゴマカシに満ちた新農基法……まさに“何でもあり”の悪政強行に乗り出している政府に対し、待ったをかける運動が求められています

(新聞「農民」1999.6.7付)
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1999年6月

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