「農民」記事データベース990503-404-04

政府統一見解「ミニマムアクセス米輸入は義務」

やっぱり大ウソだった!

韓国の通関統計で明らかに


 “早く関税化すれば、ミニマム・アクセス米の増加をおさえることができる”政府・自民党は、こんな口実で関税化を強行しました。しかし、その論拠である「ミニマム・アクセス米は輸入義務」という議論が、大ウソであることが改めて明らかになりました。

 WTO協定上、ミニマム・アクセスは「輸入機会の提供」にすぎず、輸入するかどうかは「商業的判断」にまかせられるべきもの。しかし、政府は「日本は米を国家貿易扱いにしているから輸入は義務だ」という卑劣な「統一見解」をタテに、日本の消費者が食べもしない外米をせっせと輸入してきました。
 しかし、日本と同じく米の特例措置を受け入れ、国家貿易品目にしている韓国が、ミニマム・アクセス米を全量輸入していないことが、同国の通関統計で明らかになりました。

 韓国のミニマム・アクセス約束数量は、九五年が五万一千トン、九六年六万四千トン、九七年七万七千トン。これに対し、輸入実績は九五年が七百三十一トン(一・四%)、九六年十二万トン、九七年二万四千トン(三一%)。
 九六年に輸入実績がミニマム・アクセス枠を上回ったのは、韓国の米生産量が五十万トン(八%)減少したためとみられ、約七十万トン増収になった九七年の輸入は、ミニマム・アクセス枠の三分の一以下になっています。

 この問題は、日本共産党の中林よし子議員が三月九日の衆議院農水委員会でとりあげ、アメリカ農務省の資料をもとに「輸入義務が大ウソ」であることを明らかにしました。政府は後日、「韓国もミニマム・アクセス枠を全量輸入している」と反論しましたが、これがデタラメであったことが、韓国の通関統計で裏づけられたことになります。
 特例措置と国家貿易という点で、日本とまったく同じ条件にある韓国が、生産実績に見合って輸入を増減させ、日本のような無茶な減反押しつけもしていない。日本の自主性のなさは明らかです。
 しかも、韓国の輸入先は中国とタイが大部分です。

 一方、日本のミニマム・アクセス輸入の五割前後はアメリカ米。しかし、商社・米卸の「アメリカ米離れ」が急速に表面化するなか、アメリカの既得権を守るという“談合”のうえに、アメリカに異議申し立てを取り下げてもらったのが実態でした。日本の関税化強行に異議を申し立てたオーストラリアやウルグアイが「日米談合密約」を問題にし、異議の取り下げに応じない構えを示しています。
 日本農業を守るために筋を通して交渉をするどころか、アメリカの既得権確保のために汲々とするこういう姿勢では、国際的な“共闘”どころか、孤立することは必至です。

日本と韓国の米ミニマム・アクセス量と輸入実績(単位万トン)
 95年96年97年98年
日本ミニマム・アクセス量37.945.553.160.1
輸入実績40.946.654.463.2
韓国ミニマム・アクセス量5.16.47.79
輸入実績(韓国通関統計)0.0712.02.4
生産量(モミ)6,8826,3867,1237,365

(新聞「農民」1999.5.3付)
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1999年5月

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