食料自給率向上を放棄するな
食と農の危機打開に
役立つ農基法を
農民連 緊急院内集会開く
農民連は3月13日、「食料自給率向上を放棄する農基法改定案は撤回を!緊急院内集会」をオンライン併用で開き、「食料自給率向上を政府の法的義務とすることを求める請願」署名を提出しました。
自給率向上署名
累計5万3361人分を提出
国内で増産せず輸入促進が問題
農民連の長谷川敏郎会長が開会あいさつを兼ねて、「食料・農業・農村基本法改正」について報告。「改定案は、食料自給率向上を切り捨て、日本農業再生の展望はなく、この道は飢餓への道」だと述べました。
本来、国内で増産し自給率を向上させることこそ、食料の安定供給であるにもかかわらず、国内の増産ではなく、輸入の促進でやろうとしていることが問題だと告発しました。
また、「新規就農や家族農業への支援もなく、いざという時は食料の有事立法と戦時食料法とも言うべき『食料供給困難事態対策法案』で乗り切るという無責任な態度」だと述べ、「国会への報告義務もなくそうとする責任逃れの改定だ」と厳しく批判しました。
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署名を受け取る川田(右から2人目)、紙(同3人目)両議員 |
政党からは、日本共産党の紙智子、立憲民主党の川田龍平の両参院議員があいさつし、3万3253人分の署名が手渡されました。累計で5万3361人分となりました。立憲民主党の佐藤公治衆院議員も参加。日本共産党の岩渕友参院議員のメッセージが紹介されました。立憲民主党の下条みつ、神津健両衆院議員、日本共産党の志位和夫、田村貴昭両衆院議員の秘書も参加しました。
連帯と交流の場では、新日本婦人の会の米山淳子会長が発言。長谷川会長を講師にした学習会などで改定案の問題点を知り、「知ったからには広げないといけない」と各地で署名に取り組んでいることを語り、山梨県では、JA女性部や県中央会などと懇談し、署名を広げてもらっていることを報告しました。
資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は、ウクライナ危機、気候変動、食料・穀物メジャー企業による食料支配など世界の食料事情が不安定なときに、改正案が国内増産、自給率向上に向かわず、展望も一切みえず、むしろ改悪になっていると厳しく批判しました。
OKシードプロジェクトの印鑰(いんやく)智哉事務局長は、種苗法改定などにより「農民が種子をつくれなくなっている」と指摘。何をつくるかを決定する食料主権が改定案に位置づけられるべきだと述べ、ゲノム編集などバイオテクノロジーに依存しない農民の育種技術を大切にし、秋田県での「あきたこまちR」作付け強制に反対しようと訴えました。
世論高め署名をさらに広げよう
生産者から2人が発言。千葉県佐倉市の新規就農者、田端希さん=米、野菜農家=は、改定案に新規就農支援がなくスマート農業ばかりが強調されていることを批判。「営農への支援こそが自給率向上、食の安全につながる」と訴えました。
千葉市の酪農家、金谷雅史さんは、全国で酪農家が年内に1万戸を割る事態に危機感を表明するとともに平均所得がマイナス48万円である現状を訴え、「輸入に頼り国内農業を軽視してきた農政がこの現状につながっている。改定案の問題点を多くの人に知ってもらうことが大事」だと述べました。
全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の衛藤浩司事務局長が連帯あいさつし、引き続き署名を集めて、世論を高めることを訴えました。
農民連の笹渡義夫副会長が閉会あいさつ。「世論を広げ、国民的運動を強め、農と食の危機打開に役立つ基本法にしよう」と呼びかけました。
終了後、30人の紹介議員の国会事務所に署名を届けました。
(新聞「農民」2024.3.25付)
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