「農民」記事データベース20240318-1593-01

東日本大震災・福島原発事故から13年

今の思いを語る

佐藤紫苑=さとう しおん=さん
(伊達市・イチゴ・キュウリ農家)


農民連に出会い学び、変わった

 東日本大震災・福島原発事故から13年。今の思いを福島県北農民連副会長の佐藤紫苑さん(伊達市、イチゴ・キュウリ農家)に手記を寄せてもらいました。

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右から3人目が佐藤紫苑さん

 取り巻く環境も13年で変わった

 東日本大震災から13年。長かったのか短かったのか、人それぞれ感じ方は違うだろう。

 あの時、未就学児だった息子たちは、今年、それぞれ無事に高校と中学の卒業を迎えることができた。

 13年経てば、それぞれを取り巻く環境も変わる。

 あの当時、世間に流されるままに感じていた私も、農民連に出会い、学び、さまざまなことを多角的に捉えることができるように、少しずつだが変われたように思う。

原発問い直し討論続けよう

 賛否両派が一度話し合えないか

 ここ数年、子どもが学校で「原発の正しい知識を学び、風評被害にとらわれない」という内容の授業を受けてくる。

 正しい知識とは一体なんだろう。原発に肯定的な人々だけに教わる内容は偏ってはいないのだろうか?

 今、日本が抱えている原発を取り巻く問題は「討論」するべき問題なのではないだろうか?

 すでに「在るもの」だから、それに対応するすべを考えるのではなく、そもそも「在るべきものなのか」という、根底にある問題から、肯定派も否定派も一堂に会してもう一度話し合えないものなのだろうか?

 様々な考え方があっていいと思う。

 民主主義国に生まれることができた私たちの、権利であり義務ではないかと思う。

自分の考えを発信し続けることを
私はやめたくない

 知識を得ることをやめない

 過去から学び、次の世代に生かすことができることが、人が与えられた美だと私は思う。

 13年前、私たちが学んだことは何だろう?

 あの、最高裁判決(原発事故の国の責任を否定した22年6月の判決)を聞き、判決文を読み、私たちが持った感情はどんなものだっただろう?

 人は時が経てば忘れていってしまう。私自身も、毎日この問題に向き合っているわけではないし、時間とともに忘れてしまっていることもたくさんある。

 それでもSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれ、世界全体が地球を守るために考え努力している中、化石燃料や、原子力発電に頼りきっている現状は、進展なのか、衰退なのか、私は疑問に感じてしまう。

 何も難しいことはない。太陽光発電を検討する。原発とは何かを学ぶ。事故はどう防げたのかを考える。知識を得ることをやめない。

 13年前に提起されたこの問題に対して、様々な考え方を持っている人がいることを忘れない。

 どんな形でもいいから考え続けること。自分にできるやり方で(無理なく)自分の考えを発信し続けることを私はやめたくない。

(新聞「農民」2024.3.18付)
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2024年3月

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