地域の特産品守りたい
鳥取 南部町
永榮夏育さん(43)
新規就農3年目の柿農家
兼業でも収益確保し柿農家を増やしたい
永榮夏育(ながえなつお)さんは地元の鳥取県南部町で3年前に新規就農し、柿の栽培をしています。
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3年目の収穫作業、笑顔の永榮さん |
永榮さんは普段、作業療法士として病院に勤務しています。兼業・副業として農家の道を選び、土日・祝日の農作業での両立に努力を重ねています。「家族との時間がなかなか取れないことが心苦しい」と永榮さん。妻と6歳と1歳の子どもの4人家族です。
永榮さんの就農のきっかけは、町が果樹園の担い手を募集するチラシを見たことでした。近年、地域の高齢化と後継者不足により、管理できない果樹園が増えている問題が背景にあります。「会見(あいみ)地域特産の富有柿が大好きで、自分でも栽培してみたい!」と思ったことがきっかけでした。
約40アールの果樹園、成木10アールと2年生の幼木30アールを管理しています。実際にやってみると苦労の連続。初年度は霜による被害で収穫がほぼゼロに。町からの霜害対策支援で大赤字は免れましたが、年間売り上げは8万円でした。農作業に費やす時間が限られているので、適期作業も難しいと言います。
しかし永榮さんは「会見地域の特産品を守りたい」と意気軒高です。
「消毒作業に必須のスピードスプレイヤー(自走式噴霧機)は地域のJA果実部の農家さんが無償で貸してくれます。農民連には初年度から税金申告で勉強させてもらっています」と感謝のことばを述べてくれます。
友人や職場の仲間が農作業を手伝いにきてくれる交流の場がうれしいと語る永榮さん。
「目指すところは、兼業・小作・小規模でもしっかり収益が出せるモデル農家になること。そうすれば地域で柿を栽培する人も増えると思います」と先を見据えるまなざし。私たちも支えていきたいと思っています。
(鳥取県農民連事務局長 岡田厚美)
(新聞「農民」2024.2.5付)
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