「農民」記事データベース20240129-1586-02

農民連
全国委員会開く

自給率向上署名の更なる飛躍へ

 農民連は1月17、18の両日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで全国委員会を開き、37都道府県から約100人が参加しました。


仲間を増やして亡国農政を
変える国民運動を

 自給率を放棄の基本法の見直し

 開会あいさつで長谷川敏郎会長は、能登半島地震でいち早く被災地に駆けつけ、救援物資を届け、要望の聞き取りを行った福島、石川、富山などの各県農民連にねぎらいの言葉を述べ、被災者・被災農民への物心両面の支援は、被災者の命を救い、災害を理由に離農を出さないという農民同士の「絆」を結ぶ取り組みだと強調。一方で、被災地の食事や避難所不足、孤立集落、災害関連死など、災害への岸田政権の冷たい姿勢が、自己責任を押しつける新自由主義の本性だと批判しました。

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あいさつする長谷川会長

 結成35年の農民連は昨年の第25回定期大会でアグロエコロジー宣言(案)を提案し、6月には、「新農業基本法への提言」を発表し、情勢を動かしていることを指摘。酪農・畜産だけでなく、米、野菜、果樹など全分野で経営が赤字になり、基幹的農業従事者116万人のうち59歳以下は23万人、80歳を超えている農家は24万人という現状を示し、「日本の農業が産業として成り立つのかどうかの瀬戸際だ」と強調しました。

 12月27日に発表された官邸本部の「食料・農業・農村基本法の見直しの基本方向」には、「食料自給率」「新規就農者」の文言がなく、「このまま放置すれば基本法の改定が自給率向上を放棄する最悪の決定になりかねない」と警鐘を鳴らし、「自給率向上を政府の義務とする署名」運動が、「岸田政権を追い詰め、農業再建のための基本法をつくる絶好のチャンスになる」と訴えました。

 最後に、各分野の運動を広げていくためにも、幅広い国民運動をつくり上げることと、市民と野党の共同を広げることの重要性を訴え、「この1年間の仲間ふやし、新聞『農民』の拡大の成果と教訓を出し合い、組織拡大をしっかり討議し、春の大運動のスタートアップにしよう」と結びました。

 地震災害支援の募金手渡される

 来賓あいさつでは、立憲民主党参議院幹事長の田名部匡代参院議員、日本共産党農林漁民局長の紙智子参院議員、社民党副党首の大椿ゆうこ参院議員のメッセージが紹介・代読されました。

 能登半島地震災害支援金が石川、富山、新潟、福井、長野の各農民連の代表に手渡されました。

 藤原麻子事務局長が全国委員会決議案の報告を行い、22年から23年にかけての「日本から酪農・畜産の灯を消すな」の運動、学校給食の無償化・地場産化・有機化を求める運動、インボイス(適格請求書)導入に反対するたたかいが局面を打開し、運動を広げていることを示し、「食料自給率向上を政府の義務とすることを求める」署名をさらに進めるために、学習会・集いを開き、食と農の危機打開の国民世論を巻き起こすことを提起しました。

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被災地の各農民連に募金が手渡されました

 春の仲間づくり大運動を提起

 年間を通した仲間づくりの到達は、46都道府県が成果を上げたことを報告。しかし、拡大数を上回る会員や読者の減少があり、前年度現勢から後退したと述べ、「来年1月の第26回定期大会までに組織の後退に歯止めをかけ、前進に転化させよう」と呼びかけました。

 インボイス導入後の初めての税金の自主申告運動の強化と農家の要求実現の取り組みについて、学習を位置づけ、会員が周りの農家に声をかけ、仲間を紹介してくれるよう働きかけることを提起。「税金要求が切実になっているからこそ、取り組みを組織内にとどめず、農家に大量宣伝を行い、広く声をかけて学習会を成功させることが大事だ」と強調し、春の大運動(1月18日〜3月31日)を提起しました。

 特別報告として、コロンビアで昨年12月に開かれた国際農民組織ビア・カンペシーナ第8回国際総会に参加した小倉毅副会長、福島県農民連の横山真由美さん、岡崎衆史・国際部長が報告。真嶋良孝政策責任者が、新農業基本法改定の問題点を指摘しました。

 仲間づくりと新婦人との交流

 討論では27人が発言。能登半島地震では、被災地から石川農民連の宮岸美則会長が全国からの支援に感謝の言葉を述べ、「引き続き支援を受けながら災害復旧に取り組みたい」と表明。同時に、「志賀原発が再稼働していたら大惨事になっていた」と語り、原発をなくす運動にも取り組む決意を述べました。

 富山県農民連の水越久男副会長は「支援活動に取り組みながら、地域を守り、仲間を増やす運動を進めたい」と語りました。

 会員と読者を増やす課題では、常任委員の来住誠太郎さん(宮崎県農民連事務局長)が、宮崎で6月以降、会員20人、読者23人を増やした経験を語り、拡大の力になったのが専従職員の成長にあると述べ、免税軽油の会員に仲間の紹介を訴えるはがきを出して動きを広げ、事務局のつながり、新日本婦人の会との学習会などで拡大した経験を報告しました。

 奈良県農民連の水井康介事務局長は昨年12月に900人の会員数に達成し、春の大運動で1000人を達成するために、農民連のさまざまな活動を紹介するしおりを作成したほか、会員・役員に仲間の紹介を呼びかけていることを報告しました。

 千葉県農民連の越川洋一会長は、自給率向上署名が1000人を超えたことを報告。全市町村での学習会に取り組むために、チラシの新聞折り込みで北総地域に呼びかけるなど、足を踏み出していること、役員・専従者全員が講師を務めるために学習を強める決意を報告しました。

 栃木農民連の國母克行会長は、新婦人との産直運動を通じて、「自分が食べる野菜は自分でつくる」と新婦人の会員が農作業に参加するなどの経験を紹介。収穫祭やみそ・こうじづくりなどの交流会を通じて、双方の会員が増える活動の重要性を強調しました。

 最後に、「腐敗、破綻した自民党政治を退場させ、農民、国民の要求が通るまっとうな政治を実現する国民大運動を巻き起こそう!」とする特別決議を参加者全員で確認しました。

 閉会あいさつで、根本敬副会長が、「日本の未来を農村の再生でつくり上げよう」と訴え、参加者全員で「ビバ! 農民連!」とコールして閉会しました。

(新聞「農民」2024.1.29付)
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2024年1月

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