「農民」記事データベース20240129-1586-01

能登半島地震

石川 富山 全国連
農民連が被災者支援

七尾、輪島へ物資届け、要望調査

関連/能登半島地震支援募金にご協力ください


一刻も早く生活用水の復旧を

 元日夕方に最大震度7の地震が広範囲を襲った能登半島では1月21日現在で死者232人になりました。輪島市では多数の家屋が被害にあい、市内全域で断水が続いています。災害関連死はすでに14人に達し、被災者は厳しい避難生活を強いられています。

 被災者の要望をつかみ、支援を行うため、石川農民連と富山県農民連、農民連本部は20日、石川県七尾市と輪島市に入り、被災者から状況や要望を聞き取るとともに、輪島診療所や炊き出しを行う飲食店に支援物資を届けました。

 石川農民連の宮岸美則会長と近松由太事務局長、富山県農民連の水越久男副会長と水越清三事務局長、農民連本部からは渡辺信嗣全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)世話人が参加しました。

 北陸ブロックに呼びかけ、寄せられた米や野菜と神奈川から提供された豚肉、富山県連が新日本婦人の会や医労連から預かった支援物資などを積み込み、七尾市を経由して輪島市に向かいました。

画像
支援物資を届けました

 七尾はいまだ7割が断水中

 七尾市では会員で万行希望の丘農園代表理事の西野勝一さん(83)を訪問。西野さんと兵庫泰正理事(74)、坪内明監事(80)に状況を伺いました。

 西野さん宅は古い土蔵の壁が崩れ、自宅玄関のドアが倒れ、窓ガラスが割れた以外は被害がありませんでした。「当日夕方は庭の真ん中に車を止めて車内に避難していましたが、1日の夜には家に戻りました。寝室は避難しにくいので居間のこたつで、枕元に靴を置いて寝ています」と西野さん。近くの集落ではため池が崩落するなど農業被害も出ています。

 七尾市ではいまだに市内の7割が断水中です。西野さんは使っていなかった古い井戸を復旧して生活用水に使っていますが、坪内さんと兵庫さんは、洗濯とお風呂は富山県の氷見市まで行っている状況です。

 また市街地では建物の崩落や駐車場の液状化などの被害が出ています。

 西野さんの農園でつながりのある農家や消費者約50人に、6日に届けられた支援物資を手分けして配りました。「普段笑顔を見たことがないような人も、笑顔で感謝されました。非常にやりがいのある仕事をさせてもらいました」と、配った西野さんたちも励まされる支援となっています。

画像
七尾市のみなさんと支援行動の参加者

炊きだし支援の準備進む

 食事提供は朝夕のみ昼は自力で

 次に向かった輪島市はさらに深刻な被害が起きていました。市内は「直後に比べ道にはみ出した建物などの片付けが進んでいる(水越久男さん)」とは言うものの基礎からひっくり返った建物やつぶれた家、道の大きな亀裂や段差など、地震の大きさを物語る被害が至る所にありました。

画像
地震で倒壊した家屋(輪島市)

 飲食店と診療所に支援物資を届け、新婦人輪島支部の山下ひな子支部長と川上由美県本部委員、輪島診療所の上浜幸子事務長から現状や要望を伺いました。

 避難所では場所ごとに対応の差が大きくなっています。食事は朝夕の2食しか出ず、昼食は自力で調達。椅子にコートなどを掛けて仕切り代わりにしており、段ボールベッドなどはなし。自衛隊が炊き出しや風呂の提供などを行っており、在宅被災者もそこで炊き出しをもらえますが、風呂は長蛇の列となるなど、厳しい状況が続いています。

 市内では一部の店舗が営業を再開しており、日用品や生鮮食料品も購入することはできます。しかし、「お金も持たずに避難して来たので、一番必要なのは現金かもしれません」と川上さん。また飲用水は配布物資で賄えていますが、水道が出ないことから「お米をとぐことや食器を洗うことも大変です」と山下さんは言います。

 管理態勢が整わず、インフルエンザや新型コロナ、ノロウイルスなどの感染者が出ても「居室の隔離やトイレなどの分離ができず感染が広がった避難所もあります」と上浜さんは指摘しています。

画像
道路に大きな亀裂が入っています(輪島市)

 農民連の仲間で力合わせ支援を

 協議の中で、食品の調理も困難な状況なことから、パックご飯の提供や場所を確保して炊き出しを行うことを提案。診療所や新婦人のみなさんと協力して早期に実施できるよう準備を進め、定期的な実施をめざすことになりました。

 また、死活問題の上下水道の早期復旧について国などに求めていきます。

 富山県連の水越久男副会長は「農民連の仲間を増やして、力をあわせて支援に取り組んでいきたい」と支援を強める決意です。


能登半島地震支援募金にご協力ください
 ▼ゆうちょ銀行 総合口座
 ▼記号 10030
 ▼口座番号 61671711
 ▼名義人 農民連災害対策本部

(新聞「農民」2024.1.29付)
ライン

2024年1月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2024, 農民運動全国連合会