「農民」記事データベース20240122-1585-11

伝統産業が息づく福井県越前市

福井県農民連 加藤吉則


農業者に寄り添い声を届けたい

 私は福井県農民連の加藤吉則です。初めての投稿なので地元のことを紹介します。

 地元、越前市(旧武生市)は古来、都から北に延びる北国街道・越前の国の玄関口。人口は8万余で伝統産業(越前打ち刃物、越前和紙、越前箪笥=たんす=)が息づいています。また、半導体や自動車部品などの先端産業も盛んで製造出荷額は県内最大です。

 万葉の里として

 歴史的には、律令時代に越前の国の国府が置かれた土地です。今年から放映されるNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公・紫式部が都を離れて居住した唯一の地でもあります。

 また、街なかには日本を代表する絵本画家、いわさきちひろの生まれた家(記念館)もあります。

 私の居住する味真野(あじまの)地区は、万葉の里として整備され、万葉集に登場する地で、古くから都との往来がありました。

 昨年は異常高温で初めて2等に

 このような土地柄ですが、足元の耕地は現在、町内で宮内稲作協業組合が半世紀にもわたり営農を持続してきました。あえて法人化はせずに、育苗など共同作業と農機具の共同利用をメインに約20ヘクタール耕作しています。昨夏は特に異常で高温障害が多く発生し、私の田んぼでもコシヒカリは初めて2等米になりました。もとより低米価の折柄、大きな打撃になっています。

 今、営農上の課題は地元でも同様です。まず、担い手の高齢化が進んでいます。60から70歳台のメンバーが中心で、後継者としての若い世代が十分に育っていません。ただ、当協業組合では、農繁期など部分的に若手後継者などが顔を出してくれ助かっています。

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宮谷稲作協業組合の育苗ハウス内

 シカの害が拡大 地域一体で柵を

 また、獣害として昨今イノシシからシカによる被害が拡大しています。その対策として、営農者以外の方々とも協力し、高さ2メートルの防護柵を設置し続けています。すでに1・5キロメートルに及びます。

 ただ、隣集落からの侵入があり地域一体となった切れ目のない柵の設置が切望されます。

 今年も農民連として営農者に寄り添い、引き続き当該市、県、農政局交渉などを実施し、営農者の声を届けていきたいと考えています。

「ちひろの生まれた家」記念館=越前市天王町4―14、電話 0778(66)7112、JR武生駅から徒歩約10分

(新聞「農民」2024.1.22付)
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2024年1月

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