鳥インフルエンザ対策の強化を
埼玉農民連が県に緊急の要望書
2回にわたって意見交換会開く
埼玉農民連は、昨年11月30日に埼玉県毛呂山(もろやま)町で発生した高病原性鳥インフルエンザ対策に対して、同日、「緊急要望書」を提出。12月19日と26日の2回、県との意見交換会が行われました。
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要望書を手渡す立石会長(中央) |
今季の鳥インフルエンザ発生は、11月に佐賀県、茨城県、埼玉県で発生して以降、これまでに6例が発生しています。
26道県、84事例が発生した前季は、全国の飼養羽数約1億3000万羽のうち過去最高の1700万羽が殺処分となり、「エッグショック」という事態となりました。
世界的にも大流行となり、OIE(国際獣疫事務局)のモニーク・エロワ事務局長は、鳥インフルエンザが人畜共通感染症に変質し、新たな(人間の)パンデミック(世界的感染爆発)へと転じることを懸念して、「各国は、家きんへの鳥インフルエンザ・ワクチン接種を検討すべき」と訴えています。
しかし、養鶏の現場で鶏1羽1羽にワクチン接種を行うのは、作業面でもコスト面でも容易ではなく、またワクチンを打った家きんは輸出が制限されることなどから、アメリカなどは接種には消極的なのが実態です。
埼玉農民連は意見交換会で、県に鶏への鳥インフルエンザ・ワクチン接種への見解をただしたところ、県は「接種すると、感染の有無が判別できなくなる」と否定的でした。一方で「感染状況を注意深く見極める」と述べ、慎重な姿勢をとりました。
埼玉農民連として、「県・国は、OIEの懸念に耳を傾け、ヒト、動物および環境の健康・健全性を一体として包括的に考える姿勢で、鳥インフルエンザをはじめ家畜感染症の対策に取り組むことが求められている」と訴えました。
家畜保健衛生所統廃合は中止を
また県は、家畜の伝染病の検査や伝染病予防の事務や検査、指導などを行う家畜保健衛生所(家保)を、現在の3カ所から2カ所に統廃合する計画を進めています。これが実施されると、直線距離で70キロも離れた市町村を一つの家保が管轄することになり、農場の巡回や検体輸送といった家保の機能が弱体化することが懸念されます。
私たちは、「豚熱や鳥インフルエンザのまん延など、家畜衛生行政の重要性は近年ますます高まる一方であり、統廃合は畜産農家切り捨てに直結する」と述べ、中止を求めました。
(埼玉農民連 立石昌義)
(新聞「農民」2024.1.22付)
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