「農民」記事データベース20240115-1584-06

豊かな給食と地域の
発展について交流

全教などが給食シンポジウム開催


社会的な営みとして捉えよう

 2023年12月16日、「無償化を進めよう!学校給食について考えるオンラインシンポジウム」が開催されました。主催は全日本教職員組合(全教)、教組共闘連絡会、日本自治体労働組合総連合(自治労連)。北海道から沖縄まで全国170カ所を超える参加がありました。

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(左上から時計回りに)石田さん、奥村さん、斎藤さん、平野さん

 開会あいさつで全教書記長の檀原毅也さんは、「全ての子どもの健やかな成長のために給食を保障したい、という願いが広がっている。今日は、社会的な営みとしての学校給食の豊かな可能性を考えたい」と述べました。

 群馬県の「学校給食費の無料化をめざす会」代表世話人の石田清人さんが講演し、群馬県内での無償化実施の広がりは「2014年に会をつくったことが大きかった」と強調。各地域での願いや要求を可視化させ行政に伝え、「議会や首長の意識を変えてきた」と述べました。

 貧困対策として始まった運動が、安心・安全な食材提供をという要求なども加わり発展。「学校給食無償化が憲法理念や少子化対策、食育の充実、子育て支援といった多様な受け止めによって、広範な市民に理解されている」と強調しました。

 各地からのリレートークでは多彩な視点や取り組みからの発言が相次ぎました。

 京都市で学校事務職員をしている奥村久美子さんは、無償化の意義について発言。21年度の文科省調査で、給食費の保護者負担額は、公立小学校で子ども1人当たり年間約5万円、公立中学校で約5万6千円になると報告。「政府からの交付金で無償化を実施してきた自治体も多い。今後の無償化継続が不透明な中、私たちはいま特に国の責任で無償化を進めるべきという運動を強めている」と述べました。

 広島市の小学校で給食調理員をしている平野あゆみさんは、給食の民間委託について言及。全国で大規模センター化や民間委託が進み「学校から“給食の先生”がどんどん減っている」と報告。民間委託の問題として、調理現場と教育現場の分断、低価格落札による経営悪化や破綻への危惧などをあげました。「栄養教諭は建築士、調理員は大工。お互い切磋琢磨(せっさたくま)する機会が失われてはいけない」と強調しました。

 埼玉県の中学校で栄養教諭をしている猪瀬里美さんは、「今日は北海道にきている」と第一声。水産庁がホタテの給食無償提供を発表したことによる視察で、漁業者の話を聞きに現地に来たと説明。「私の勤める学校は、自校調理方式だから来月の献立で変更・反映できる。センター化や市内統一献立だと、そういった対応は難しい」と指摘し、「これは地元の農産物を取り入れる場合も同じことが言える。献立は食の教科書。子どもたちの実態や授業の流れに合わせた献立作成が基本」と述べました。

 農民連の齋藤敏之常任委員も発言。学校給食に提供される輸入小麦パンや輸入かんきつ類から残留農薬や除草剤成分が検出されている問題などに触れ、公共調達を生かした地域の農産物導入の重要性に言及。安心・安全を担保する農産物の認証について、農家や行政、流通業者、保護者を含めた地域の合意のもとに進める「参加型認証」の形を紹介。「農民連も、できるところからこの運動を始めようと呼びかけている」と述べました。


 訂正 1月1・8日付6面の名刺広告中、農民組合京都府連合会のメールアドレスが、正しくは「kyoto-nomin@grape.plala.or.jp」でした。おわびして訂正します。

(新聞「農民」2024.1.15付)
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2024年1月

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