「農民」記事データベース20231211-1581-01

福島県農民連、県北農民連

地域の農業をどう守るのか

事務局・農家が連携して困難な会員を支援


苦難あるところに農民連あり

 「夫が脳梗塞で倒れて稲刈りができない。何とか助けてもらえないか」――。福島市内の米農家の会員から福島県北農民連に連絡が入ったのは今年10月初めでした。単組として福島県農民連と協議・連携し、援農支援することを決めました。

 事務局からも交替で支援

 地域の米農家会員に声をかけ、事務所の体制を維持しつつ、事務局からも連日交替で収穫作業に携わりました。

 県連から佐々木健洋事務局長が、県北農民連から服部崇事務局長、藤田和佳子、阿部恵実両事務局員が参加。米農家からは元県北農民連会長の冨田久夫さんが参加し、全体の音頭をとりました。

 約1・2ヘクタールの水田の米をコンバインで刈り取り、乾燥機で乾燥、もみすり、袋詰めまでを実施。藤田さんは「困ったときはお互いさまです。冨田さんが丁寧にいろいろと教えてくれました」と話します。冨田さんは「自分のところの1・5ヘクタールを終えたばかりで、体力的に不安はあったが何とかやれた。相談されたら断るわけにはいかない」と振り返ります。

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事務局もコンバインの操作を経験しました

 機械は、緊急入院した米農家さんのコンバインや乾燥機などを使いましたが、はじめは苦戦しました。冨田さんが持っているものとはメーカーが異なったためです。乾燥機から、もみすり機への移送の際に毎回ブレーカーが落ちるなどのトラブルも発生。「いつも使っている本人ならきっと何でもないことだと思う」と話す佐々木さんですが、機械屋さんを呼んで対応しました。

 農家の苦労をあらためて認識

 倉庫内の乾燥機の中が小麦の収穫で使われたままだったので、初日は掃除をして翌日から稲刈りをしました。

 この米農家さんは水田1・2ヘクタールの他にも、小麦と大豆の輪作を約1ヘクタール行っています。その耕作地のほとんどが「もう作れない」と言われ、地域の農地を荒らすわけにいかない、と借り受けている土地です。

 地元の会員も自分の稲刈りの合間をぬって作業に加わり、延べ10日間の収穫作業を終えました。佐々木さんは「私たち自身が貴重な経験をさせてもらえた」と振り返ります。

 「これまでは収穫の一部を手伝うことはあったが自分たちで全部やったのは初めて。農家さんたちの苦労があらためて分かったし、尊敬の念が強くなった。非農家出身の事務局員も自信につながると思う」

 困ったとき結集できる組織に

 冨田さんは今後の課題にも目を向けます。「私も71歳になったが、会員の高齢化が進んでいる。若い世代を迎えないといけないし、会員との関係性づくりも大事になる。いざ何かあったとき、地域の農民連が結集できる組織づくりをしないといけない」

 この10月の前後で、脳梗塞などで倒れる会員が県北農民連で相次ぎました。服部さんも危機感を口にします。「会員と支え合い、地域の農業をどうやって守っていくか。苦難あるところに農民連あり、の実践が問われている」

(新聞「農民」2023.12.11付)
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2023年12月

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