被災者が主体となった復興を
全国災対連などが交流集会開く
人間復興実現が大きな課題
公的責任による被災者本位の復旧・復興の課題を共有し、それらを防災・減災対策にどう生かすかを学ぶ災害対策全国交流集会2023が11月12日に開催され、オンライン含め約80人が参加しました。
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被災者の生活再建を求めて討論しました |
主催は、「災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会」(全国災対連)など実行委員会。全国災対連代表世話人の住江憲勇さんがあいさつし、「自然災害が大規模・常態化するなか国の救済制度に大きな関心が寄せられ、全国災対連への期待も大きくなっている。喫緊の課題として、災害者生活再建支援制度の抜本的拡充を求めていこう」と述べました。
福島大学名誉教授の鈴木浩さんが「関東大震災100年災害の歴史から何を学ぶか」と題して講演。「関東大震災の復興の時から、『ショック・ドクトリン』や『惨事便乗型復興』と対峙(じ)し、『人間の復興』を実現することが課題となっていた」と紹介。また東京は開発利益優先の都市設計が行われており「再び首都直下型地震が起これば、避難者数に見合う数の仮設住宅の建設は絶望的。見なし仮設として使われる民間住宅の質と量の確保が課題だ」と指摘しました。
また東日本大震災は大地震と津波による災害と原発事故による被害の複合災害で原発事故による避難の長期化が特徴的と解説。「原発は加害者のいる公害であり、被災者が主体となって復興の道筋を言い出すことが求められる」と述べ「県民版原発災害からの復興ビジョン」を紹介。復興のポイントとして「生活の質」「コミュニティの質」「環境の質」の3つの質がポイントだと指摘しました。
後半は4分科会を開催。各地の事例や取り組みをもとに、被災者の救済や、防災のために必要なことを討論しました。
全労連の石川敏明副議長はまとめの発言で「東京都江東区の職員時代に伊豆大島の全島避難の避難所を担当したが、被災者目線の支援の重要さを改めて実感した。『生活の質・コミュニティの質・環境の質』の3つの質の重要性を教訓としたい」と語りました。
(新聞「農民」2023.12.4付)
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