食料自給率向上を国の責務に
日本母親大会 農水省に要請
安心して食べ続けられる農政実現を
11月に開催される第68回日本母親大会の実行委員会は10月26日、大会決議案に盛り込まれた母親・女性たちの切実な要求を政治に反映させるため、各省庁への要請行動を行いました。農水省への要請には、農民連女性部役員の他、茨城や埼玉、新潟などの代表者8人が参加しました。
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要請書を手渡す参加者 |
要請では、(1)来年の「食料・農業・農村基本法」の改定にあたっては、食料自給率目標を国会承認制とし、食料自給率向上を国の法的責務とすること、(2)資材高騰対策の強化、(3)食料支援強化や、学校給食の無償化と国産農産物利用の推進などを求めました。
山口県からの参加者は、「農家が高齢化しているが、米価が低くて若い人が農業に就けない。国が責任をもって価格保障をしてほしい」と要望。大分県からの参加者は、「産直でリンゴを取り寄せている青森の生産者から、『今年は高温障害で収量が減ってしまい、注文に十分に応えられない』と言われた。以前から高齢化で生産量が落ちているとは聞いていたが、私たちの食料が温暖化でいま、現実に危機に直面し始めている。少しでも多くの国内生産者を守る手立てを、政府としてとってほしい」と求めました。
輸入途絶えたらどうするのか
農水省は、「今後も食料自給率向上を追求していくことに変わりはない。しかし肥料など自給率に換算されない生産条件も考慮する必要があり、自給率だけでなく、国内の食料安全保障を総合的に見ていく必要がある」と回答しました。
これに対し、新潟県からの参加者は、「米どころ新潟ですら大規模化した生産者が高齢化している。自給率だけ考えるのでは不十分とのことだが、こんな状態で食料が入って来なくなったら、国として本当にどうするのか」と重ねて質問。また埼玉の実弟が今年、離農したという東京からの参加者は、「小さな農家がどんどん離農し耕作放棄が激増しようとしている。国は小さな農家の対策をどう考えているのか」とただしました。
農水省は、スマート農業による作業効率化などに言及しつつ、「やはり価格については市場での生産と需要のバランスが重要」と回答。参加者は「それは結局、価格は市場任せということに他ならない。国として農業予算を増額し、生産者を守る価格制度をつくるべきだ」と重ねて求めました。
(新聞「農民」2023.11.20付)
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