「食料・農業・農村基本法」改定
合同学習会
6つの生協が自給率向上に向けアピール
これからも生産者とともに
9月22日に行われた6つの生協による合同学習会では、「食料・農業・農村基本法」見直しについて、食料自給率を上げる転換期にしていくための、各生協によるアピールが行われました。発言要旨を紹介します。
海外に依存しない食料供給を
花沢博美さん
東都生活協同組合常任理事
東都生協は今年4月に畜産・酪農緊急集会を開き、生産現場で起こっている現状を学び、政府に声明を出しました。また、5月に国が示した「食料・農業・農村基本法」中間とりまとめに対する私たちの意見を届けました。食料自給率向上への対策強化、食料生産への積極的な財政支援など7項目からなります。食の危機から将来世代を守るため、海外に依存することなく食料供給を可能とする農業を推進することを強く願います。
持続可能な未来を地域から
萩原なつよさん
生活クラブ生協連合会連合消費委員長
畜産・酪農危機は、日本の食料全体に影響する重要な問題として、組合員に「酪農応援緊急カンパ」をつのり、今年4月に5366万円を酪農生産者団体に直接手渡しました。
地域連携による持続可能な地域社会づくりを進めています。地域資源の活用、再生可能エネルギー、耕畜連携の推進などに取り組んでいます。生産と消費は一体です。飼料用米の作付け増など、これからも生産者とともに持続可能な未来をつくっていきます。
産地とともに命の産業守る
辰巳千嘉子さん
生活協同組合連合会コープ自然派事業連合副理事長
私たちは有機農業を基本にして食料自給率を高めていこうと提案しています。
具体的にはJA東徳島との協同組合間協同で、管内の25%有機農業の早期達成に取り組んでいます。また有機小麦を1000トン作るめどが立ち、今年5月に「日本有機加工食品コンソーシアム」を神戸市で立ち上げ、オーガニック市場での挑戦をはじめました。
産地と一緒に進める産直で、命の産業である農業を守っていきましょう。
有機への転換は三者共同で
田辺有里さん
生活協同組合連合会アイチョイス理事
私たちは食の安全性に関わる課題解決として、国産の有機農産物の取り扱いを広げる活動を推進しています。有機農業を目指す生産者の育成にも力を入れています。
しかし有機栽培への転換は生産者にとってリスクと覚悟が伴います。生協・組合員・生産者が相互に理解し合える努力が必要です。
輸入依存の食料政策から、国内での循環・持続する農業に切り替え自給率を上げていく。中長期の視点を持った食料・農業政策が必要です。
生産者とよりよい社会築く
松野玲子さん
パルシステム生活協同組合連合会副理事長
産直産地は後継者不足や高齢化に悩むなか、様々な模索を続け、皆さん本当に汗をかいておられます。
しかしウクライナ情勢や円安の影響に加えて、近年の自然災害の多発化・激甚化は生産者に大きな負担を及ぼしています。家畜疾病も本当に大変な問題です。
いま本当に大きな転換点です。私たちは責任ある生活者として、現状を見つめ正しく理解し、同じ時代を生きる生活者である生産者と、よりよい社会を目指します。
顔の見える関係これからも
小林香織さん
グリーンコープ生協くまもと理事長
私たちは安心・安全な農産物を作ってくれる生産者の皆さんとの交流を通して“顔の見える関係づくり”を大事にしています。青果が家に届くと、自然と生産者さんの顔が浮かびおいしさが増します。
気候危機の中で私たちは何ができるのか、という視点でも生産者の皆さんから現場の声を聞いています。自分たち自身で見て聞いて考える。これをずっと続けていきます。
(新聞「農民」2023.10.23付)
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