東北農団連が農政局要請
酪農・畜産への支援を
稲作経営の所得向上を
東北農団連(東北農民団体連絡協議会)は9月15日、東北農政局に6項目の要請を、東北6県から13人が参加して行いました。
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要請書を手渡す嶺岸若夫・宮城県連会長(左) |
農民連が新「食料・農業・農村基本法」への提言を発表していることから、来年の農基法改定にあたり、食料自給率目標を定める基本計画を国会承認制とすること、自給率向上を政府の法的義務とすることを強く要請しました。
国内では1俵(60キロ)約1万3千円で生産者米価が推移しているなかで、2023年1月にミニマムアクセス(MA)米のアメリカ産玄米が1俵3万円で輸入されていることに対し、直ちにMA米の輸入を中止することを怒りを込めて要求しました。
東北地方は畜産農家も多く、畜産危機は昨年よりも深刻になっており、飼料用穀物の高騰対策、畜産物の価格下落対策などを緊急に行うよう強く求めました。
東北6県は稲作地帯で米の生産量が多く、21年の稲作農家の所得は1万円割れの米価により平均で1万円、時給にすると10円にしかならない現状を農政局と確認したうえで、水田作経営の所得向上のために、価格保障の充実や経営が継続できるような対策を緊急に実施するよう要求しました。
災害支援を充実せよ
秋田県からは、昨年からの甚大な集中豪雨被害の生々しい実態を伝えながら、倉庫や作業場の浸水被害により秋の収穫作業に支障が生じないよう、県や市町村と連携して緊急の対応を実施するよう求めました。
岩手県からは、春の凍霜害の実態が伝えられ、経営継続のための薬剤代の助成支援を農政局から自治体や関係機関に強く働きかけるよう要請しました。奥州市で、都会からUターンし、農業を継いでいる43歳の農家は、「生産資材の高騰のなか、米とピーマンをつくっているが、農水省は農産物への価格転嫁ができるようにしてほしい」と訴えました。
また、狩猟免許をとってハンターとしても活動している参加者は、「シカ、イノシシ、クマ等の害獣を駆除した場合に山中に穴を掘って埋めるのが大変だから、害獣処分施設の整備がどうしても必要だ」と述べました。
予定された1時間を30分以上もオーバーして、熱心で切実で怒りに満ちた要請行動になりました。
(宮城農民連事務局長 鈴木弥弘)
(新聞「農民」2023.10.23付)
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