2023年度都道府県に対する主要農作物種子の生産アンケート「たねと食とひと@フォーラム」が発表
種子生産の継続“安定供給と品質確保のため不可欠で重要”自治体の大半が回答「たねと食とひと@フォーラム」はこのほど、2023年度主要農作物等の種子生産に関する都道府県アンケートの調査結果を発表しました。今年度も2023年5月に全都道府県の担当者にメールで依頼し、7月31日までに45自治体から回答を得ることができました。 (1)23年度予算について 前年度に比べて大幅な変化があったのは北海道で約3400万円増額しています。特徴的な増額は鳥取県で人材育成のマニュアル作成や研修会開催のために約490万円増えています。その他の増減は機械購入や施設整備の有無によるもの(いずれも1000万円以下)でした。 (2)奨励品種決定のための原々種・原種の生産、種子の審査等について 22年度と比べ、大きな変化は見られませんでした。 (3)ゲノム編集品種の種子生産の可能性について 22年度と同じく、「可能性がある」と回答した自治体はありませんでした。「その他」と回答した岩手県と宮城県と静岡県は不明、富山県は無回答でした。 (4)種子生産に関する条例について 昨年の調査後、長崎県主要農作物種子条例(23年3月)、山口県種苗条例(23年4月)が新たに制定されました。23年6月の時点で条例未制定は青森県・東京都・神奈川県・静岡県・京都府・大阪府・奈良県・和歌山県・岡山県・香川県・高知県・佐賀県・大分県の13都府県です。 (5)国または民間企業との共同開発について 「国の研究機関との共同開発」を行っているのは11県、「民間企業との共同開発」を行っているのは5県でした。 (6)奨励品種のうち、 登録品種の許諾について 登録品種の許諾申請が「必要」「一部必要」としているのは合計で26道府県で、昨年と変わりませんでした。 (7)民間事業者への知見の提供 提供していると回答したのは次の6自治体です。北海道(道内農業団体等への登録品種の利用許諾等)、石川県(委託生産者へ提供)、福井県、愛知県(県育成品種の利用許諾)、佐賀県(佐賀県農業試験研究センターで佐賀大学と共同での大豆品種の選抜、JATAFF〈公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会〉からの水稲の民間育成品種の評価のための委託試験を受託し、得られた知見を該当する民間事業者へ提供)、鹿児島県(DNAマーカーによる県育成品種の識別手法) (8)都道府県間連携や国の制度について 「他の都道府県との連携が必要」と回答したのは35道府県で、「需給安定や災害時に備えるために必要」「近隣府県の需給情報を正確に把握したい」という意見がありました。財源の確保は41道府県が重要とし、国の制度については34道府県が必要と回答し、国の地方交付税措置の継続や支援策が求められています。 (9)主要農作物の種子生産継続の重要性について 大半が「安定供給と品質確保のために不可欠で重要」としています。 課題としては、種子生産者の高齢化と後継者不足、また、「生産体制を維持するための機械・施設の老朽化に伴う整備についての支援が必要」という意見がありました。 (10)その他 主要農作物の原々種の生産から生産農家へ販売する一般種子の生産までの流れを知るため、今回、採種事業と種子流通について聞きました。 ある県の資料に「種子(たね)」を作る農家の高度な技術と伝統に裏付けされた自信(プライド)が「優良種子」づくりにつながっていると書かれていました。
◇ 調査の詳細は、「たねと食とひと@フォーラム」のホームページ(https://nongmseed.jp/)を参照してください。
(新聞「農民」2023.10.2付)
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[2023年10月]
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