「原発事故は国の責任」
全国で初めての統一署名スタート
関連/新署名で原発なくす世論を広げたい
事実と道理に基づいた
司法判断を迫る
全国各地でたたかっている原告団が1つになり、共同署名で国民世論をつくっていく運動がスタートします。原訴連(原発被害者訴訟原告団全国連絡会)の呼びかけで始まるこの新署名は、原発関連訴訟として初めての全国統一署名となります。
昨年6月最高
裁判決を正す
この署名は「2022年6月17日最高裁判決を正すこと」を求める個人署名です。
最高裁第二小法廷は昨年6月17日、東京電力福島第一原発事故について、国の責任を否定する判決を下しました。「津波は想定を上回るものだったから、たとえ防潮堤などの対策をとったとしても事故は防げなかった」―。この判決は、国の政策として原発を推進し、必要な安全規制を怠った結果、事故を招いた国の責任を免罪するものです。原訴連は「これでは事故の教訓を導くどころか、被害者の真の救済は実現せず、また同じような重大事故を繰り返してしまう」と強く指摘しています。政府の意向に無批判に従い、結論ありきの乱暴な判決です。
署名では「国の責任を不問にした最高裁判決を正す高裁・地裁判決、新たな最高裁判決を求めます」として、事実と道理に基づいた司法判断をやり直すことを求めています。
政府の原発回帰
この判決が契機
同時にこの判決によって、今後も続く各地の原発訴訟での判決に悪影響をもたらす可能性も危惧されます。そして岸田自公政権は、この最高裁判決によって免罪符を得たかのように、先の通常国会で原発推進に舵(かじ)を切る「GX推進法」を成立させました。アルプス処理水の海洋放出もこの判決と無関係とは言えません。
全国各地の訴訟団の枠を超え、全国の原発をなくす運動を一つにして「原発事故は国の責任」だと認めさせる署名です。「原発をなくす全国連絡会」に加盟する農民連も広く国民と結びつき、この署名運動に取り組んでいきます。
福島県北農民連 事務局長 服部 崇さん
私は福島県北農民連の事務局長をしています。福島県の生業(なりわい)訴訟原告団の事務局次長でもあります。
昨年6月17日の判決を最高裁判所の門前で聞いたとき、がく然とし、怒りや悲しみが込み上げました。「国も東電と同様の責任がある」とした仙台高裁判決を180度覆す結果に「そんなことがあるのか」と激しく落ち込みました。
全国各地で原発訴訟をたたかう仲間から励まされ、そして今回新しい署名を全国一つにして取り組むことになりました。原発被害者が同じ署名で一緒に取り組むことは初めてのことです。ここに至るまでに各地の訴訟団とかなり議論を重ねました。
とにかく昨年の6月17日判決を正さないといけない。これは単純に「国の責任を勝ち取るため」だけではなく、この署名によって原発をなくす運動と世論を全国に広げたいのです。12年前の原発事故の後、「やっぱり原発はダメだよね」という国民世論は間違いなくありました。それをもう一度つくっていくために、全国が一つになって取り組む新署名の意義は本当に大きいです。
この署名を広げて原発はなくそう、再生可能エネルギーでやっていこう、福島の被害はまだ終わっていない、ということを国民世論にしていく。そうしないと汚染水の海洋放出も岸田政権のGX推進法も止められない。
皆さん、どうかご協力をよろしくお願いします。
(新聞「農民」2023.9.25付)
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