国民大運動が農水省へ予算要望
自給率向上を予算の柱に
大混乱の畑地化事業は中止を
8月23日、農民連も加盟する国民大運動実行委員会による2024年度予算、農林水産省の概算要求編成に対する申し入れを農水省内で行いました。農民連から笹渡義夫副会長と藤原麻子事務局長、農民連ふるさとネットワークから湯川喜朗事務局長が出席し、実行委員会から渡辺正道事務局長と山田純江事務局員が参加しました。
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大臣あての要望書を渡す笹渡氏(右) |
「国内での食料増産により食料自給率を引き上げること」という要望を最初に提示。それに対し、大臣官房政策課・食料安全保障室の担当者は、来年度予算は自給率を押し上げるために麦・大豆、加工業務用の野菜、飼料を国内増産するための予算計上をしている、と回答。笹渡氏は「この間の食料・農業・農村基本法見直しの中間取りまとめや、大臣の国会答弁などを見ると自給率を“格下げ”しようとする動きがあるのではないか」と指摘しました。担当者は、目まぐるしく変わる情勢の中で、これまで以上に他の指標も含めて食料安全保障の確立をしていく必要性を説明。その中で「食料自給率が大事な柱になることは重々承知している」と述べました。
「混乱している畑地化事業は中止すること」という要望の中で湯川氏は「私たちの仲間がこの事業の1次採択でことごとく不採択にされている」と告発。理由は麦・大豆を生産するとした申請に対し、国が推奨している加工業務用野菜よりも「ポイント」が低いからだと指摘。湯川氏は「国が勧める高収益作物を作ると言えば規模の大小に関わらず採択される。これでは国内で増産するとした麦・大豆の生産は伸びず、自給率向上にもつながらない。先ほどの農水省の回答と矛盾している。少なくともポイント制はやめるべきだ」と強く主張しました。農政局企画課・水田対策室の担当者は「秋以降の2次採択で対応したい」と述べるに留まりました。
そもそも畑地化事業への申請を余儀なくされるのは、水田活用直接支払い交付金(以下、水活)の見直し政策によるものだとして湯川氏は「北海道で50ヘクタール作っている農家も『やめるしかない』となるなど怨嗟(えんさ)の声が各地から上がっている。今がんばっている農家の手を離さない支援と金額の提示をしてほしい」と強く述べました。
笹渡氏は「水活見直しは歴史上、最も重大な水田農業つぶしになる。水田機能を維持し、麦・大豆を作ってきた人たちは、それができなくなれば離農・廃業してしまう。日本の食料を一緒に守ってほしい」と述べ、新しい基本法で自給率向上を国の義務とし、それに基づく予算だてをすることを重ねて要望しました。
また9月8日に農民連として、この間の被災状況をまとめた要請行動を行うことを伝えました。
(新聞「農民」2023.9.11付)
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