ALPS処理汚染水の
海洋放出は直ちに中止を
2023年8月25日
農民運動全国連合会 会長 長谷川敏郎
1、岸田文雄首相は9月22日、東京電力福島第一原発事故で発生したALPS処理水(汚染水)を海洋放出すると一方的に発表し、東京電力は24日にも海洋放出を開始した。私たちは強く抗議するとともに、直ちに中止することを求める。
1、政府は、「漁業者を含む関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を踏みにじった。全国漁業協同組合連合会(全漁連)や福島県漁業協同組合連合会(県漁連)をはじめ漁業関係者がこぞって反対を表明し、福島県民のみならず多くの国民からも合意がないもとで、この暴挙は断じて許されない。
1、専門家からは、広域遮水壁で汚染水の新たな発生を抑え、地上保管を継続するなど、海洋放出以外の解決策も提案されている。政府・東電は海洋放出ありきで、まともに検討してこなかった。これらの代替策を真剣に検討すべきである。
1、海洋放出は、福島復興の障害になるのは避けられない。岸田首相の「風評被害対策は万全を期す」「数十年の長期に渡ろうとも、放出完了まで責任を持つ」は、無責任極まりない発言である。
12年に及ぶ農林水産業をはじめとした損害賠償への国・東電の姿勢を見れば明白である。なお事故の被害に苦しむ農民として、決して容認できない。
1、海は日本国だけのものではない。地球全体を循環し地球環境を維持する大きな役割を果たしている。ALPS処理水(汚染水)の海洋放出に対する国際的な合意はまだ確立していない。強行は日本の国際的な信用を失墜させる暴挙であり、直ちに中止すべきである。
(新聞「農民」2023.9.4付)
|