「農民」記事データベース20230828-1566-03

原爆投下から78年
原水禁世界大会ひらく

関連/食と農の危機は平和への脅威

 広島・長崎への原爆投下から78年を迎えた8月、原水爆禁止2023年世界大会が開かれました。8月6日に広島市、7日・8日に長崎市で開催され、4年ぶりに本格的な会場での対面形式での実施となりました。


核兵器のない世界つくるために

 長崎大会は台風6号の影響で3日間の開催予定を2日に短縮となりましたが、様々な立場の人々のスピーチや分科会などを通じた交流・学びあいが行われました。

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長崎大会の総会会場

 6日の広島大会にメッセージを寄せた松井一郎広島市長が核抑止力の破綻を指摘。その翌日、長崎大会の冒頭で鈴木史郎長崎市長は「これまで以上に核兵器や戦争をなくすための声を大きくしていくことが重要」と原水禁世界大会の開催を歓迎しました。

 2日間の総会の中で登壇した被爆者は「核兵器がもたらした人間的な破壊や損傷の実態をつかんでほしい。それが核廃絶への大きな行動力となる」(田中煕巳(てるみ)さん)、「日本政府がするべきは、アメリカ追従の戦争加担ではなく、対話と交流、平和外交で相互信頼を醸成すること」(田中重光さん)と発言。平均年齢85歳を超える被爆者の思いを受け継ぐ運動の意義が強調されました。

 学生 「平和の力は学びと友情」

 学生や若い世代の参加者も多く、沖縄の高校生は「今年3月に沖縄で全国の中学・高校生が集まり、米軍基地について学んだ。そこで私たちが得たことは平和のための力は、基地や核兵器ではなく、学びと友情だということ」と発言し、会場から大きな拍手が起こりました。

 メキシコ、マレーシアの政府代表やアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国、ウクライナなどで核廃絶・平和運動を進める市民社会の代表らがあいさつ。活動報告と合わせて世界が平和と非核を求める声でつながり、連帯を強めようと呼びかけられました。

 世界大会長崎決議として、核兵器禁止条約が国際法としての機能を発揮していることが強調され、今年11月にニューヨークで開かれる第2回締約国会議に日本政府もオブザーバー参加するよう求める運動の強化、すべての国の政府に禁止条約への支持と参加を求めることなどが呼びかけられ採択されました。

 主催する世界大会実行委員会の発表で7・8日の2日間の参加者数は延べ8100人となりました(オンライン参加者含む)。


食と農の危機は平和への脅威

農民連 長谷川会長が分科会で発言

 8日の長崎県内での分科会では被爆の実相についてや、気候危機、原発など10を超える多彩な取り組みが各会場で催されました。その中の「大軍拡と平和・くらし」分科会で、農民連の長谷川敏郎会長が「平和への脅威 食と農の危機と農民連のたたかい」と題して発言。核の傘だけでなく、「食の傘」というアメリカからの食の支配に60年間屈服してきた経過を報告。すでに日本はFAO(国連食糧農業機関)から飢餓国として認定されている事実を告げると、会場からは驚きの声が漏れました。

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分科会で発言する長谷川会長

 国内農業をつぶしてきた農業基本法が、いまアメリカと一緒に戦争をするために改定が進められていることを指摘。それを阻止し、食料自給率の向上を国の責任で行わせるために、国民・消費者の声と運動が何よりも重要になると強調しました。「安全性でも、地球環境の問題でも輸入に頼る食生活を変えていくために国内で生産できるものは国内で増産していく。一口でも一箸でも国産農産物を」と訴えて農民連のパンフレットを紹介しました。

 岸田政権による大軍拡の詳しい中身とそれによる生活への影響とは、という報告・発言に続いて長谷川会長の発言だったため、参加者からは「戦争する国づくりや平和の問題と食と農の問題がつながっていることがよく分かった」などの感想が寄せられました。

(新聞「農民」2023.8.28付)
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2023年8月

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