農家のための
税金コーナー
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電子帳簿保存法の改正点
今年の税制改正で電子帳簿保存法が改正されています。
電子帳簿保存法では注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをメールなどでやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を、改ざん防止や検索機能等の要件を満たしたうえで保存する義務があります。これまでは、2年間の限定で紙に印刷したものを保存することが可能でしたが、2023年末で期限切れとなります。
今改正で新しく猶予措置が作られました。次の条件を満たす場合は改ざん防止や検索機能などの要件を満たさなくても、電子取引データを単に保存すればよいことになります。
(1)保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)。
(2)税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合。
これまでの経過措置では、印刷物を保存すれば電子データの保存は必要ありませんでしたが、(2)の条件で電子データのダウンロード(データのコピーの提出)が求められるので、電子データの保存が必要です。注意してください。
また、検索機能が不要とされるのは、税務調査の際、電子取引データのコピーを提出できるようにしている基準期間(申告2年前)の売上高が、5000万円以下の人となりました(改正前は1000万円以下)。また、電子取引データを印刷し日付および取引先ごとに整理して示すことができる人となりました。
これまでは、電子保存データの記録者またはその監督者の情報が確認できるようにする必要がありましたが、来年1月からは不要になります。
認証された会計ソフトではなくエクセルなどで計算している人は、確定申告後にパソコンとは別にUSBメモリなどに保存し、変更しないことが大切です。
違反した場合は税務調査の結果次第で、青色申告の取り消しや、帳簿が否認され、税務署に推計課税をされる恐れがあります。
(新聞「農民」2023.8.7付)
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