自家配合飼料
関連/“柔軟な対応”求める
仕入れ方法で差別せず
すべての農家に支援を
2020年10月以降、配合飼料価格が高騰し、「令和の畜産危機」と呼ばれて、畜産・酪農農家が廃業の危機に追い込まれています。
運動が実り自家配にも支援開始
農民連や畜産関連団体の度重なる強い要請により、農水省は今年3月に「畜産・酪農緊急対策パッケージ」を発表し、従来の配合飼料価格安定制度に新たな特例を設けて上乗せ支援する「新特例」が行われることになりました。
また「畜産・酪農対策パッケージ」では、これまでまったく支援策のなかった自家配合飼料にも支援金が交付されることになりました。交付単価は飼料用トウモロコシ1トンあたり1200円と、高騰分には遠く及ばないものの、自家配合飼料を使用することの多い養豚や和牛肥育、養鶏などの畜産農家にとっては、きわめて重要な支援となっています。
ところが、自家配合飼料を使用する畜産業者でありながら、「関税割当のトウモロコシを利用していない」などの理由で、せっかく設けられたこの自家配合飼料の支援制度から排除されてしまう事例が生まれています。
そもそも自家配合飼料支援にしても、財源は全額、国の税金であり、すべての畜産農家に平等に支給されるべき支援策です※1。
それにも関わらず現在の制度設計では、「新特例」は配合飼料価格安定基金に加入している農家にだけ支給され、自家配合支援では「新特例」の4分の1しか補てんされません。またその自家配合飼料支援からもまったく説得力のない理由で排除され、あらゆる補てんがゼロという生産者がいるのです。同じ輸入トウモロコシを使用しているにもかかわらず、きわめて大きな不公平が生まれています。
“柔軟な対応”求める
自家配合飼料支援の問題で、対象外となった群馬自家配研養豚農協と農民連が共同して7月11日、農水省からレクチャーを受けました。
同農協の今泉芳雄組合長は、「輸入穀物が高騰しているなか、自家配合飼料にも支援されると聞き、万全の申請準備を進めてきた。ところが申請直前に対象外だと通告され、本当に納得がいかない。生産者を支援するという制度本来の目的に立ち返り、柔軟に対応してほしい」と求めました。
また群馬県の林牧場代表取締役の林篤志さんは、「輸入トウモロコシを使う畜産農家が分断させられている。国の税金による支援策で、差別は許されない」と述べ、国の姿勢を批判しました。
※【訂正】 7月31日号にて、以下の訂正がありました。
7月24日付2面「自家配合飼料 仕入れ方法で差別せず、すべての農家に支援を」の記事中、「そもそも『新特例』にしても、自家配合飼料支援にしても、財源は全額、国の税金であり…」とありますが、「新特例」は国と配合飼料メーカーの積立金で行われ、全額国費ではありませんでした※1。訂正して、おわびします。
2023年8月7日、訂正しました。
(新聞「農民」2023.7.24付)
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